在宅避難を成功させるポイント|都市部・マンション住まいの備えとは?
地震や台風、豪雨災害などが起きたとき、避難所に行かず「自宅で過ごす」という選択肢があることをご存知ですか?
これがいわゆる**「在宅避難」**です。
特に、都市部やマンション暮らしの家庭では、「避難所が遠い」「自宅が安全な構造」「ペットや高齢者がいる」などの理由で在宅避難を選ぶケースが増えています。
しかし在宅避難には、**「設備が使えない」「備えがない」「生活できない」**といったリスクも多く、しっかりとした準備が不可欠です。
この記事では、都市部・マンション住まいの方に向けて、在宅避難を成功させるための備え・工夫・チェックリストを網羅的に解説します。

<この記事を書いた人>
シャア
学生時代から防災や災害対策に強い関心を持ち、20年以上にわたり情報を収集・整理。防災訓練のボランティア経験や、災害時の避難準備を日常的に実践してきた「防災オタク」。最新の防災グッズや自治体の防災計画まで幅広く研究し、実生活に役立つ防災知識をわかりやすく伝えています。
そもそも「在宅避難」とは?避難所に行かないという選択
在宅避難とは、災害が発生しても家が安全であると判断できる場合に、自宅で避難生活を送ることを指します。
在宅避難が注目される背景
- 避難所の定員オーバーや衛生面への不安(感染症含む)
- 高齢者・乳幼児・ペットなど、避難所での生活が難しい家族がいる
- マンション構造や地盤の強さで自宅の方が安全な場合もある
ただし、ライフライン(電気・ガス・水道)の停止を前提とした備えが必要であり、「家にいるだけでは安全」とは言い切れません。
在宅避難に必要な5つの備えとは?
在宅避難を成立させるには、次の5要素をクリアする必要があります。
- 水の確保
- 食料の備蓄
- トイレと衛生対策
- 電源と情報収集手段の確保
- 安全な生活空間の維持(寒さ・暑さ対策など)
【1】水の確保|生活用水と飲料水を分けて考える
人が1日に必要とする飲料水の目安は1人あたり3L。
3日分なら9L、家族4人なら36Lとなります。
飲料水の備え方
- 2Lペットボトルの保存水を常温で保管(5年保存タイプ推奨)
- ミネラルウォーターと併用することで日常消費も可(ローリングストック)
生活用水の備え方
- 風呂の残り湯を清潔に保管(フタ・洗剤などで雑菌対策)
- ポリタンクや給水バッグ(10〜20L)を用意
- ベランダに水用の簡易タンクを常備しておくのも有効
【2】食料の備蓄|ローリングストックと非常食の併用が鍵
「在宅避難=家に食べ物がある」は幻想です。
停電・断水で調理できない状態でも**「すぐに食べられる食料」**が必要です。
推奨される食料備蓄の考え方
| 種類 | 内容例 | 保存期間 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 主食 | 無洗米・レトルトご飯・クラッカー | 半年〜5年 | 火が不要なものを優先 |
| おかず | 缶詰(肉・魚・野菜)、レトルトカレー | 2〜5年 | 子どもでも食べやすいものを |
| おやつ | ビスケット・羊羹・チョコ | 1〜3年 | 精神安定・カロリー補給に |
| 飲料 | スポーツドリンク・野菜ジュース | 6ヶ月〜1年 | 水分+栄養補助に便利 |
【3】トイレと衛生対策|断水時に備える必須の備蓄
水洗トイレが使えない=災害時の深刻な問題です。
下水道の損傷や停電によるポンプ停止などが原因で流せなくなる可能性も。
必須アイテム
- 凝固剤付きの簡易トイレ(1日5回×人数分×3日)
- 防臭袋(におい・衛生対策)
- ポータブルトイレ(洋式便座が使えない場合)
- おしりふき・アルコールシート・消毒スプレー
さらに「ゴミの一時保管用バケツ」や「トイレ処理のルール」も明文化しておくと、家族全体で衛生を保ちやすくなります。
【4】電源と情報収集手段の確保|停電対策が在宅避難の要
都市部では停電が長引くと、情報・生活すべてが麻痺します。
● 情報収集の手段
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 手回し式ラジオ | 電池不要で災害時に安定 |
| スマートフォン | 通信制限下でも災害速報を確認可能 |
| AM/FMラジオ | 広域の正確な情報が得やすい |
※NHKラジオは災害時に最も信頼される情報源の1つ。
● 停電対策アイテム
| アイテム | 内容 |
|---|---|
| モバイルバッテリー(大容量) | スマホ2〜4回充電可の10,000mAh以上 |
| ソーラーパネル充電器 | 電源確保が長期になる場合に有効 |
| LEDランタン・懐中電灯 | 電池式・充電式両方あると安心 |
| 乾電池 | 単3・単4を中心に家電ごとに準備 |
家の配線設備が壊れていないなら、ポータブル電源の活用も選択肢になります。
【5】安全な生活空間の維持|寒さ・暑さ・防犯対策
都市部マンションでも災害時は、生活空間の温度・湿度・光・音すべてが不快な環境になりがちです。
● 寒さ・暑さ対策
| 季節 | 備え |
|---|---|
| 冬 | アルミ保温シート、毛布、使い捨てカイロ |
| 夏 | うちわ、冷感タオル、水スプレー、携帯扇風機 |
マンションの中層階以上では通風が悪く、夏場は特に熱中症リスクが高まります。
● 防犯・プライバシー確保
- ブレーカーは必ず落とす(漏電火災防止)
- 夜間の光源は最小限に(目立たないように)
- 玄関には補助錠を設置(外部からの侵入対策)
- カーテンで目隠し・通風を両立させる工夫
マンションならではの在宅避難ポイント
マンション住まいの特性を生かした備え方には、以下のような工夫があります。
● 給水タンクの有無を確認
上層階ほど早く断水する可能性が高いため、タンクがない建物は早めの給水確保が鍵。
● エレベーターの停止を前提に
- 階段での荷物移動手段(リュック、キャリー等)
- 乳幼児・高齢者の移動ルートの確認と介助者の確保
● バルコニーを備蓄スペースとして活用
- 防水コンテナで水・防災セットを保管
- 日差し・風通しを考慮した「2層保管」方式
備蓄と収納の工夫|限られたスペースで無理なく続ける
都市部では「備えたいけど置く場所がない」が現実的な悩み。
● 収納の工夫アイデア
| 場所 | 活用例 |
|---|---|
| ベッド下 | 無洗米・水・カセットボンベなど |
| クローゼットの上段 | 非常用トイレ・衛生用品 |
| キッチンの棚 | ローリングストック型食品 |
| 玄関周辺 | 持ち出しリュック・ヘルメット |
普段の収納に**1段分の「災害用ゾーン」**を確保しておくだけでも、心理的・物理的に大きな差が生まれます。
在宅避難の事前準備チェックリスト(印刷OK)
□ 家が「安全な状態」であるか
- 耐震診断・耐震補強の有無
- 家具の転倒防止策の実施
- 落下物の危険がない配置
□ 3日以上の生活ができる備蓄があるか
- 水・食料・トイレ・衛生用品・電源
- 家族構成・季節・持病に応じたカスタマイズ済み
□ 停電・断水・通信断絶時の対応を想定しているか
- 情報収集手段・充電方法
- 手洗い・入浴代替手段
- ゴミの保管と処分法
□ 家族間で在宅避難のルールを共有しているか
- 担当の役割分担
- 定期的な訓練・確認の実施
- LINE・SNSなどの安否確認方法の設定
まとめ|「避難所に行かない選択肢」に備えれば暮らしが強くなる
在宅避難は、避難所に行くよりも「ラク」ではありません。
むしろ、水も電気もトイレも情報も“自分でまかなう”ことが前提だからこそ、日常の備えが生死と健康を分けることもあります。
- 都市部・マンションならではの制約と特徴を把握する
- 家族構成やライフスタイルに合わせてカスタマイズする
- 「いざというとき」のために、今から小さく備えを始める
それが、自宅を「避難所」に変える最初の一歩です。
今日、1本の水を買うことから始めてみませんか?