自治体のハザードマップの正しい見方と活用法|危険区域を見逃さない方法とは
近年、日本各地で頻発する地震・台風・豪雨災害。
あなたの住む場所がどんな災害リスクにさらされているのか、正確に把握できていますか?
その答えを地図上で「見える化」してくれるのが、各自治体が発行しているハザードマップです。
しかしながら、
- 「どこで見られるの?」
- 「記号や色が分かりにくい…」
- 「どう活用すればいいの?」
という声も多く、せっかくのツールが十分に使いこなされていないのが現状です。
本記事では、防災初心者にもわかりやすく、実践的なハザードマップの使い方と見方を解説。
正しい情報をもとに、「命を守る判断」ができるようになることを目的としています。

<この記事を書いた人>
シャア
学生時代から防災や災害対策に強い関心を持ち、20年以上にわたり情報を収集・整理。防災訓練のボランティア経験や、災害時の避難準備を日常的に実践してきた「防災オタク」。最新の防災グッズや自治体の防災計画まで幅広く研究し、実生活に役立つ防災知識をわかりやすく伝えています。
ハザードマップとは?目的と役割をおさらい
ハザードマップとは、地震・津波・洪水・土砂災害などの自然災害リスクを地図上に示した資料です。
作成は各自治体が行い、多くは住民へ配布されるほか、Webでも閲覧できます。
主な災害種別ごとのハザードマップ
| 種類 | 対象となる災害 |
|---|---|
| 地震ハザードマップ | 地震の発生確率、震度分布、液状化リスクなど |
| 洪水ハザードマップ | 河川の氾濫による浸水予測範囲と深さ |
| 土砂災害ハザードマップ | 土石流・崖崩れ・地すべり等の危険区域 |
| 津波ハザードマップ | 想定される津波到達範囲・浸水高 |
| 内水(都市型)ハザードマップ | 排水能力を超えた雨水の一時的な浸水予測 |
ハザードマップの入手方法と確認のしかた
● 紙媒体で確認する
- 各市区町村が配布する「防災ガイドブック」や「地域防災計画」に同封
- 公民館・役所・地域センター・学校などでも配布中
● オンラインで確認する(※おすすめ)
| 方法 | URLまたは検索キーワード |
|---|---|
| 各自治体の公式サイト | 「○○市 ハザードマップ」で検索 |
| 国土交通省ハザードマップポータル | https://disaportal.gsi.go.jp |
| 東京都防災マップ | https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/ |
| 県庁・市町村の防災ポータル | 例:「兵庫県 防災ポータル」など |
オンライン版のメリットは、拡大・検索・複数災害の重ね合わせ表示ができることです。
正しい見方①:地図の凡例(記号・色)を把握する
ハザードマップには「凡例(はんれい)」と呼ばれる記号や色の意味一覧が記載されています。
見方を間違えると、重大な判断ミスにつながります。
例:洪水ハザードマップの色分け(浸水深)
| 色 | 浸水の深さ | 危険度 |
|---|---|---|
| 薄い黄色 | ~0.5m | 膝下程度、床下浸水 |
| 濃い黄色 | 0.5~3.0m | 胸~頭部まで浸水、建物被害大 |
| オレンジ~赤 | 3.0~5.0m | 2階部分にまで浸水する恐れ |
| 紫 | 5.0m超 | 命に関わるレベルの危険域 |
必ず、自宅周辺がどの色に該当するかを確認しましょう。
正しい見方②:災害の種類ごとに「重ねて」考える
ハザードマップを使ううえで重要なのは、「一つの災害リスク」だけで判断しないことです。
例:複数リスクの重なり
- A地区:液状化+洪水+津波の重なり → 要避難
- B地区:地震リスクは高いが土砂災害リスクは低い → 自宅待機も可能
- C地区:避難所が洪水エリア内にある → 避難所の再検討が必要
→ ハザードマップポータルサイトでは、災害ごとのレイヤーをON/OFFして重ねて表示できます。
正しい見方③:避難所と避難ルートの確認
ハザードマップには、多くの場合「指定避難所」や「一時集合場所」も明記されています。
しかし、避難所=安全とは限らないのが現実です。
● 確認すべき3つのポイント
| 項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 避難所の場所 | 徒歩で何分? 高低差は?夜間でも安全? |
| 避難所の災害リスク | 洪水・土砂災害エリアと重なっていないか |
| 避難経路の安全性 | 橋・トンネル・河川・急坂などが含まれていないか |
避難所そのものが被災するリスクがある地域では、**避難所以外の選択肢(在宅避難・車中避難)**も視野に入れておく必要があります。
自宅の立地と建物構造を照らし合わせる
ハザードマップのリスクと照らし合わせて、**「今の自宅で避難できるか?」**を見直すことが大切です。
● 注目すべき視点
| 観点 | 判断基準 |
|---|---|
| 標高・地形 | 低地・谷地・旧河川敷は要注意 |
| 建物構造 | 木造1階は浸水・倒壊リスクが高い |
| 地盤の強さ | 液状化マップ・旧版地図などで確認可能 |
| エレベーターの有無 | 停電時の移動困難さを考慮 |
● 自宅がリスクエリアの場合の対応策
- 垂直避難(2階以上への移動)
- 早期避難(警戒レベル3での自主避難)
- 一時的に親族宅やホテル避難を選択する準備もしておく
ハザードマップには「書かれていない情報」もある
実はハザードマップには限界があります。
● 限界・盲点
| 限界内容 | 理由 |
|---|---|
| 過去のデータをもとにしている | 想定外の災害(豪雨量・地震規模)には対応できない |
| エリア外の影響がある | 上流の決壊・隣接区域の被害などは表示されないことも |
| リアルタイムの危険はわからない | 土砂崩れの前兆や風速などは反映されない |
そのため、ハザードマップは「完璧な答え」ではなく、判断材料のひとつとして使う意識が必要です。
家族や地域でハザードマップを共有する方法
ハザードマップの最大の価値は、**「自分以外の人と共有しておける」**ことです。
● 家庭内での共有方法
- 防災会議で一緒に確認・マーカーで印をつける
- 印刷して玄関に貼っておく(災害時の集合場所も記載)
- LINEなどでPDF版を家族に送っておく
● 地域内での共有・活用法
- 自治会・町内会の防災訓練で地図を配布
- 高齢者・外国人世帯にも「やさしい版」で共有(多言語対応も推奨)
- マンション管理組合では、全戸にリスクと避難先のマップを配布
被災者の声に学ぶ|「もっと早く見ておけばよかった」
● 台風19号(2019年)・埼玉県川越市・40代男性
「ハザードマップでうちの近くに川があるのは分かっていたけど、実際に浸水したとき“どこまで水が来るのか”知らずに車を流された。地図をちゃんと見ていれば避けられたはず」
● 九州北部豪雨(2020年)・福岡県朝倉市・60代女性
「避難所に向かう途中の道が土砂崩れで通行不能に。後から見たら、ハザードマップに“土砂災害警戒区域”と書いてあった。知らなかったでは済まされないと思った」
まとめ|“見るだけ”では命を守れない。行動につなげる読み方を
ハザードマップは、あなたの住む場所にどんな危険があるかを示す地図です。
けれども、見るだけでは命は守れません。
- 自宅・避難所・通学路などのリスクを色・記号で読み取る力
- 地形・建物・周囲の状況と照らし合わせる習慣
- 家族や近隣と一緒に話し合い、避難行動に移す行動力
この3つを意識してこそ、「本当の防災」になります。
防災は特別なことではなく、日常の一部です。
そのスタート地点として、ぜひ一度、自宅周辺のハザードマップを今すぐ開いてみてください。