空き家の固定資産税、住宅用地特例が解除されるとどうなるか

「空き家を放置すると固定資産税が6倍になる」という話、聞いたことがある方も多いと思います。何がどう解除されると、なぜ6倍という数字が出てくるのか、仕組みを整理します。
「実家の固定資産税が急に上がった」という相談の多くは、「住宅用地の特例」という軽減措置が解除されたことが原因です。この記事では、特例が解除される仕組みと、税額がどう変わるのかを整理します。
最終確認日:2026-08-25
「住宅用地の特例」とは
固定資産税には、住宅が建っている土地について、固定資産税評価額を軽減する「住宅用地の特例」という仕組みがあります。空き家であっても、建物が建っている限りは原則としてこの特例の対象になります。
| 区分 | 軽減の内容 |
|---|---|
| 小規模住宅用地(200㎡以下の部分) | 固定資産税評価額を1/6に軽減 |
| 一般住宅用地(200㎡を超える部分) | 固定資産税評価額を1/3に軽減 |
つまり、実家を解体して更地にすると、この特例の対象から外れ、かえって土地の固定資産税が上がることがあるという点は、多くの方が「空き家をとりあえずそのままにしておく」理由の一つになっています。
放置していても特例が外れることがある
一方で、建物を解体しなくても、「特定空家等」または「管理不全空家等」として市区町村から勧告を受けると、その土地は住宅用地の特例の対象から除外されます。特例が外れると、翌年度から固定資産税評価額が本来の金額(特例前の水準)に戻るため、結果として税額が最大で6倍程度になるケースがある、という仕組みです。
- 200㎡以下の小規模住宅用地部分:特例(1/6)が外れることで、実質的に最大6倍程度に
- 200㎡を超える一般住宅用地部分:特例(1/3)が外れることで、実質的に最大3倍程度に
2023年12月13日の空家法改正により、以前は「特定空家等」のみが対象でしたが、それより軽い段階の「管理不全空家等」として勧告を受けた場合も、住宅用地の特例が解除される対象に追加されました。「まだ特定空家ではないから大丈夫」とは言い切れなくなっている点に注意が必要です。
ここが間違えやすいので注意!
特例が解除されて即座に6倍になるわけではなく、「調査・認定」「助言・指導」を経て「勧告」の段階に至った場合に、翌年度分から適用されます。助言・指導の段階で状態を改善すれば、特例の解除を回避できる可能性があります。また、実際の増加率は敷地面積や地域の状況によって異なるため、正確な金額は市区町村の固定資産税担当窓口にご確認ください。
「解体すると税金が上がる」は本当か
「実家を解体すると固定資産税が上がる」という話もよく聞きますが、これは住宅用地の特例が「建物があること」を前提にした軽減措置であるため、更地にすると特例の対象外になるという別の理由によるものです。特定空家等の指定を受けて特例が解除されるケースと、自主的に解体して更地にするケースは、税負担が上がる仕組みとしては似ていますが、きっかけが異なります。どちらも該当しうる場合の判断材料は空き家、売る・貸す・解体で迷っている方へで整理しています。
実家じまいとの関わり
「空き家のまま置いておけば税金は安いまま」と考えていると、管理不全空家等の勧告を受けた時点で前提が崩れることがあります。固定資産税の軽減だけを理由に空き家を放置するのではなく、解体・活用・売却それぞれの選択肢を比較検討することをおすすめします。特定空家等の措置の実績は特定空家等への指導・勧告・命令、累計41,476件に、解体費用の補助制度は解体・改修の補助金ガイドもあわせてご覧ください。
よくある質問
Q. 特例が解除されたあと、元に戻すことはできますか?
建物の状態を改善し、市区町村による勧告等が撤回されれば、翌年度以降に住宅用地の特例が再び適用される可能性があります。具体的な手続きは、実家がある市区町村の担当窓口にご確認ください。
Q. 空き家でも人が住める状態なら、勧告の対象にはなりませんか?
管理不全空家等・特定空家等の認定は、実際に居住しているかどうかではなく、建物や敷地の管理状態(倒壊の危険性、衛生状態、景観等)をもとに市区町村が個別に判断します。空き家であること自体が直ちに対象になるわけではありません。
まとめ
「空き家は放置していれば税金が安い」という前提は、管理不全空家等・特定空家等として勧告を受けた時点で崩れます。固定資産税の負担だけを理由に判断を先送りせず、実家の状態を定期的に確認しておくことをおすすめします。
出典
- 国土交通省「改正空家法 施行に向けた空き家対策の現在地」https://www.mlit.go.jp/report/press/house03_hh_000177.html
- 住宅用地の特例(軽減割合)の一般的な内容および2023年法改正による対象拡大の経緯は、国土交通省の公表資料および複数の専門メディアの報道を参考に当サイトで整理