売る・貸す・活用

空き家バンクの全国運営状況・成約件数|1,106自治体が参加、成約は累計2万件超

空き家バンクの全国運営状況・成約件数|1,106自治体が参加、成約は累計2万件超
gonzo
ごんぞう
ごんぞう

空き家バンクの使い方は以前の記事で紹介しましたが、今回は「そもそも全国でどれくらいの自治体が運営していて、どれくらい成約しているのか」という制度全体の規模感を見ていきます。

空き家バンクは、空き家を売りたい・貸したい所有者と、利用したい希望者を、自治体(または自治体と連携する事業者)がマッチングする仕組みです。全国的にどれくらいの自治体が運営し、どれくらいの成約実績があるのか、国土交通省の情報をもとに整理します。

最終確認日:2026-09-12

全国版空き家・空き地バンクとは

もともと空き家バンクは、市区町村ごとに独自の仕組みとして運営されてきましたが、国土交通省は複数の民間事業者(不動産情報サイト運営会社等)と連携し、全国の自治体の空き家バンク情報を横断的に検索できる「全国版空き家・空き地バンク」という仕組みを整備しています。当サイトで紹介した「LIFULL HOME’S空き家バンク」も、この全国版空き家・空き地バンクに参画する事業者の一つです。

参加自治体数と成約実績

国土交通省の公表資料によると、令和7年5月末時点で、全国1,106の自治体が全国版空き家・空き地バンクに参加しています。また、同時点までの累計で、約21,700件の物件が成約済みとなっています。

項目数値
参加自治体数(令和7年5月末時点)1,106自治体
累計成約件数(同時点)約21,700件

出典:国土交通省「空き家・空き地バンク総合情報ページ」

全国の市区町村数(約1,700)と比較すると、全国版空き家・空き地バンクに参加している自治体は6割以上にのぼります。また、別の国土交通省の調査(令和元年空き家所有者実態調査)では、(全国版に限らず)市区町村独自の空き家バンクも含めると、約7割の自治体が何らかの空き家バンクを設置しているとされており、多くの地域で空き家の流通を後押しする仕組みが整いつつあることがうかがえます。

成約率をどう見るか

ごんぞう
ごんぞう

「成約件数2万件」と聞くと多いようにも少ないようにも感じますが、これは全国の空き家900万戸のごく一部にすぎません。空き家バンクは万能の解決策ではなく、あくまで選択肢の一つとして捉えるとよさそうです。

全国の空き家数(約900万戸)と比較すると、空き家バンク経由の成約件数(累計約2万1,700件)は全体から見ればごく一部にとどまります。これは、空き家バンクが不動産流通のすべてを担っているわけではなく、通常の不動産仲介市場に乗りにくい、地方部・過疎地域の空き家を中心とした補完的な仕組みであることを示していると考えられます。

そもそも、なぜ空き家は売買・賃貸に出されないのか

成約率の低さを理解するには、そもそも空き家の所有者が、なぜ売却・賃貸に踏み切れないのかという背景を知っておくと参考になります。国土交通省の「令和元年空き家所有者実態調査」では、空き家を売却・賃貸に出す際の課題として、次のような理由が上位に挙げられています。

  • 買い手・借り手が見つからない(地方部を中心に、そもそもの需要が乏しい)
  • 建物の老朽化が進んでいる
  • 設備・仕様が古く、そのままでは貸しにくい・売りにくい

また、そもそも空き家を「あえて空き家のまま」にしている理由としては、物置として使っている、解体費用を負担したくない、更地にしても使い道がない、といった回答が多いとされています。これらの理由の多くは、空き家バンクに登録するだけでは解決しない構造的な問題であることが分かります。空き家バンクは「買い手・借り手を探す手段」を提供する仕組みであって、老朽化した建物の状態そのものや、地域の需要不足を解消してくれるわけではありません。

出典:国土交通省「令和元年空き家所有者実態調査」

ここが間違えやすいので注意!

空き家バンクに登録すれば必ず成約するわけではありません。登録件数と成約件数には差があり、条件(立地・価格・建物の状態等)によっては、長期間成約に至らないケースもあります。また、自治体によって運営体制・掲載件数・成約率にはばらつきがあるとされています。実際に利用を検討する場合は、まず実家がある自治体が全国版空き家・空き地バンクに参加しているか、自治体独自の窓口も含めて確認することをおすすめします。

国が空き家バンクを後押ししている理由

国土交通省が空き家バンクの整備・高機能化を進めている背景には、空き家の増加が、防災・衛生・景観等の観点から地域の課題になっていることに加え、地方への移住・二地域居住を希望する人と、空き家を手放したい所有者とのマッチングを促進する狙いがあります。国土交通省は令和に入ってから複数回にわたり、全国版空き家・空き地バンクの機能拡充(検索性の向上、掲載自治体の拡大等)に関する発表を行っており、政策上の優先度が高いテーマであることがうかがえます。

あわせて、空き家バンクを通じた成約に対して、独自の奨励金・補助金(引っ越し費用の一部補助、改修費用の補助等)を用意している自治体もあります。こうした支援制度の有無・内容は自治体ごとに異なるため、実家がある地域の制度を個別に確認することをおすすめします。

空き家バンクを使うメリット・注意点

  • メリット:通常の不動産仲介市場では扱いにくい、地方の古い空き家でも掲載できる場合がある。自治体によっては、成約時に利用できるリフォーム補助金等とセットになっていることもある
  • 注意点:自治体を介するため、成約までのやり取りに一定の時間がかかることがある。物件によっては仲介手数料等の扱いが通常の不動産取引と異なる場合がある

また、自治体によっては、空き家バンクへの登録前に「事前相談」「現地調査」等のステップを設けている場合があります。老朽化が著しく、そのままでは登録が難しいと判断される物件については、解体を前提とした更地としての登録や、リフォーム補助金の案内が行われることもあるとされています。登録を検討する際は、まず物件の状態を自治体側に確認してもらうことから始めるとスムーズに進みやすいようです。

実家じまいとの関わり

実家が地方にあり、通常の不動産仲介市場では買い手・借り手が見つかりにくいと感じる場合、空き家バンクは検討する価値のある選択肢の一つです。ただし、成約率が高くない現実も踏まえ、空き家バンクだけに絞らず、解体・活用等の選択肢もあわせて比較検討することをおすすめします。具体的な登録の流れは空き家バンクの使い方ガイド、全国版空き家バンク「LIFULL HOME’S空き家バンク」の使い方、売る・貸す・解体の判断材料は空き家、売る・貸す・解体で迷っている方へもあわせてご覧ください。

よくある質問

Q. 実家がある自治体が空き家バンクに参加しているか、どこで確認できますか?

国土交通省の「空き家・空き地バンク総合情報ページ」や、全国版空き家・空き地バンクに参画する各事業者のサイトで、地域を選んで参加状況を確認できます。また、実家がある市区町村の空き家対策担当窓口に直接問い合わせる方法もあります。

Q. 空き家バンクへの登録に費用はかかりますか?

登録自体は無料としている自治体が多いとされていますが、運営主体・地域によって扱いが異なる場合があります。正確な費用の有無は、登録先の自治体に直接確認してください。

Q. 空き家バンクに登録する前に、リフォームしておいた方がいいですか?

必須ではありませんが、老朽化・設備の古さが成約を妨げる要因として挙げられていることを踏まえると、最低限の清掃・修繕を行っておくことで成約しやすくなる可能性はあります。大規模なリフォームを行う前に、まずは現状のまま登録し、自治体や利用希望者からの反応を見てから判断する方法もあります。

Q. 空き家バンクと不動産会社への仲介依頼は、同時に進めてもいいですか?

自治体によって扱いが異なりますが、空き家バンクへの登録と、通常の不動産仲介への依頼を同時並行で進めることを認めている場合もあります。窓口が複数になることで、買い手・借り手が見つかる可能性を広げられますが、登録条件(専任・一般の別等)は自治体・不動産会社によって異なるため、事前に確認しておくことをおすすめします。

まとめ

全国版空き家・空き地バンクには、全国の6割以上にあたる1,106自治体が参加し、累計約2万1,700件が成約しています。全国の空き家数と比べれば一部にとどまりますが、地方の空き家を活用する現実的な選択肢の一つとして、成約率の限界も理解したうえで活用を検討することをおすすめします。


出典

  1. 国土交通省「空き家・空き地バンク総合情報ページ」https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_tk3_000131.html
  2. 国土交通省「令和元年空き家所有者実態調査」https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/R1_akiya_syoyuusya_jittaityousa.html
記事URLをコピーしました