長期優良住宅化リフォーム推進事業とは?令和8年度は実施されていない点に注意

実家を解体せず、性能を上げてリフォームして活かす——そんな選択をする場合に使える国の補助事業として「長期優良住宅化リフォーム推進事業」がありましたが、令和8年度は実施されていません。制度の仕組み自体は今後また似た事業が始まったときの参考になるため、経緯とあわせて整理します。
実家を解体せずにリフォームして活用する場合の選択肢として、国土交通省が運用していた「長期優良住宅化リフォーム推進事業」という補助制度があります。市区町村ごとの制度とは異なり、全国共通の要件で申請できる国の直接補助事業である点が特徴でした。ただし、事業の公式サイトによると、令和7年度の交付申請は締め切られており、令和8年度はこの事業自体が実施されていません。現時点で新規に申請することはできないため、この記事は制度の仕組みを知るための参考情報としてご覧ください。
ここが間違えやすいので注意!
令和8年度時点で、この「長期優良住宅化リフォーム推進事業」は実施されていません。実家の性能向上リフォームで使える補助制度を探している場合は、この記事の内容をそのまま前提にせず、国土交通省の住宅リフォーム支援制度の最新ページや、リフォーム事業者に「現在使える国・自治体の補助制度」を確認することをおすすめします。当サイトの断熱リフォームの補助金(先進的窓リノベ2026事業)のように、窓の断熱改修に特化した別の現行事業もあります。
作成日:2026-09-09
更新日:2026-09-26
長期優良住宅化リフォーム推進事業とは
国土交通省の説明によると、この事業は良質な住宅ストックの形成や、子育てしやすい生活環境の整備等を図るため、既存住宅の長寿命化・省エネ化等に資する性能向上リフォームや、子育て世帯向け改修を支援する制度です。市区町村の解体補助金とは異なり、事業者(リフォーム事業者)を通じて国に直接申請する仕組みになっています。
補助を受けるための2つの条件
この事業の補助を受けるには、大きく分けて次の2つの条件を満たす必要があるとされています。
- インスペクション(建物状況調査)の実施と、維持保全計画・履歴の作成:リフォーム前に専門家による建物の劣化状況等の調査を行い、今後の維持管理計画を作成すること
- 工事後に耐震性・劣化対策・省エネルギー性が確保されること:単なる内装の模様替え等ではなく、建物の基本性能を向上させる工事であること
そのうえで、構造躯体等の劣化対策、耐震性、省エネルギー対策、維持管理・更新の容易性、可変性、高齢者対策、三世代同居対応、子育て世帯向け改修、防災・レジリエンス性向上改修のいずれかに資するリフォームであることが求められます。実家の老朽化対策として行う耐震補強や断熱改修は、この要件に該当しやすいと考えられます。
出典:国土交通省「長期優良住宅化リフォーム推進事業」
対象になる工事の具体例
「性能向上リフォーム」と言われても、具体的にどんな工事を指すのかイメージしにくいかもしれません。国土交通省が示す性能項目に沿って、実家のリフォームでよく該当しそうな工事の例を整理すると、次のようになります。
| 性能項目 | 工事の具体例 |
|---|---|
| 耐震性 | 耐震壁の増設、基礎の補強、屋根の軽量化等 |
| 省エネルギー対策 | 断熱材の追加、複層ガラス・内窓の設置、高効率設備への更新 |
| 劣化対策 | 床下・小屋裏の防湿・換気対策、木部の防腐・防蟻処理 |
| 維持管理・更新の容易性 | 配管の点検口設置、更新しやすい配管ルートへの変更 |
| 高齢者対策 | 手すりの設置、段差解消、通路幅の確保 |
単に壁紙を張り替える、キッチンを新しくするといった内装・設備のみの模様替えは、それ単独では対象になりにくいとされています。耐震性や省エネ性能等、建物の基本性能に関わる工事とあわせて行うことが前提になっている点に注意してください。
実家のような築年数の古い住宅では、断熱性能の低さがそのまま光熱費の高さにつながっているケースが少なくありません。古い木造住宅は、現在の省エネ基準ができる前に建てられていることが多く、壁や天井に断熱材が入っていない、あるいは薄い断熱材しか使われていないことがあります。窓の断熱改修や壁・床の断熱材追加といった工事は、この事業の対象になりやすいだけでなく、実際に住む・貸すことになった場合の快適性や光熱費にも直結するため、実家の活用を検討するタイミングで一度あわせて調査してもらう価値があります。
申請の大まかな流れ
- 登録リフォーム事業者を探す:この事業に対応した事業者に相談する
- インスペクション(建物状況調査)の実施:専門家が建物の劣化状況等を調査する
- リフォーム計画・維持保全計画の作成:事業者と相談しながら、工事内容と今後の維持管理計画をまとめる
- 事業者が国(執行団体)に交付申請:所有者本人ではなく、事業者が申請手続きを行う
- 交付決定後に着工、完了後に実績報告:工事完了後、事業者を通じて実績報告を行い、補助金が交付される
図:解体補助金とリフォーム推進事業の申請ルートの違い
市区町村の解体補助金と異なり、所有者自身が国に直接申請するのではなく、事業者が代わりに手続きを行う点が大きな違いです。そのため、所有者にとっては「対応可能な事業者を見つけられるかどうか」が最初の関門になります。
補助額の目安
| 区分 | 補助率・上限額の目安 |
|---|---|
| 基本の性能向上リフォーム | 補助率1/3、上限80万円/戸 |
| 長期優良住宅(増改築)認定を取得する場合 | 上限160万円/戸 |
| 一定の条件を満たす場合の加算 | 50万円/戸を上乗せ |
ここが間違えやすいので注意!
この事業の補助額・要件は年度ごとに国の予算・制度改正によって見直されます。本記事の数値は執筆時点で確認できた内容であり、実際に申請する際は、必ずその年度の国土交通省の公式ページで最新の公募要領を確認してください。また、この事業は所有者が直接申請するのではなく、事業に登録されたリフォーム事業者を通じて申請する仕組みになっているため、対応可能な事業者を探すところから始める必要があります。
市区町村の補助金との違い

「解体の補助金」と「このリフォームの補助金」は、運営元も申請ルートもまったく違います。混同しやすいので整理しておきます。
| 項目 | 市区町村の解体・改修補助金 | 長期優良住宅化リフォーム推進事業 |
|---|---|---|
| 運営主体 | 市区町村(国の交付金を活用) | 国(国土交通省)が直接運用 |
| 制度の有無・内容 | 自治体ごとに異なる | 全国共通 |
| 申請ルート | 所有者が自治体窓口に直接申請することが多い | 登録されたリフォーム事業者を通じて申請 |
| 対象工事の性質 | 解体・除却が中心 | 耐震・省エネ等の性能向上リフォームが中心 |
「実家を解体するか、リフォームして活かすか」の判断次第で、探すべき補助金の窓口も種類も変わってきます。解体を選ぶ場合は市区町村の窓口、リフォームを選ぶ場合はリフォーム事業者経由でこの事業の対象になるかを確認する、という使い分けになります。
この違いが分かりにくい背景には、「空き家対策」という同じ大きなテーマの中に、財源も申請の仕組みもまったく異なる複数の制度が並立しているという事情があります。市区町村の解体補助金は、空家法に基づく空き家対策の一環として、防災・安全交付金等を財源に地域ごとに運用されているのに対し、長期優良住宅化リフォーム推進事業は、空き家対策というより「良質な住宅ストックの形成」という、より広い住宅政策全体の目的から生まれた制度です。目的の出発点が違うため、対象になる建物の条件や、申請の窓口もまったく別物になっている、と理解しておくと整理しやすくなります。
実際には、「実家を解体するかリフォームするかまだ決めていない」という段階でも、両方の制度について並行して情報収集しておくことに意味があります。市区町村の窓口に解体の補助制度について問い合わせるのと同時に、地元のリフォーム事業者にこの事業への対応可否を聞いておけば、実際に解体・リフォームいずれかに方針が固まった時点で、スムーズに次の手続きに進むことができます。
子育て世帯向け改修にも対応
この事業は、三世代同居に対応するための改修や、子育て世帯向けの改修も補助の対象に含まれるとされています。実家に子育て世帯(相続人自身の家族)が移り住み、親世帯・子世帯が同居・近居する形で活用する場合にも、この事業が候補になり得ます。実家の活用方法として同居・近居を検討している場合は、あわせて確認しておくとよいでしょう。
三世代同居対応の改修としては、キッチン・浴室・トイレ・玄関のいずれかを複数箇所設置する工事(親世帯・子世帯それぞれの生活空間を分ける改修)が想定されているとされます。実家が古い間取りのまま一つの水回りしかない場合、相続人の家族がそのまま同居するには不便なことも多いため、こうした改修とあわせてこの事業の活用を検討する余地があります。単身の高齢の親と同居するために手すりの設置やバリアフリー化を行う場合も、高齢者対策の項目に該当しうるため、実家の状況に応じてどの性能項目に当てはまりそうか、事前にリフォーム事業者と相談しておくとよいでしょう。
実家じまいとの関わり
実家を解体せず活用する方針を決めた場合、この事業のような国の直接補助制度を組み合わせることで、耐震性・断熱性を高めたうえで賃貸や自己利用につなげられる可能性があります。空き家の活用方法全体の判断材料は空き家、売る・貸す・解体で迷っている方へ、賃貸に出す場合の収支シミュレーションは実家「賃貸」vs「売却」比較シミュレーターもあわせてご覧ください。
よくある質問
Q. 対応しているリフォーム事業者はどこで探せますか?
国土交通省の公式ページで、その年度の事業に登録されている事業者の一覧・検索ページが公表されています。まずはお近くのリフォーム事業者に「長期優良住宅化リフォーム推進事業に対応しているか」を確認する方法もあります。
Q. インスペクションだけでも費用はかかりますか?
インスペクション自体にも専門家への依頼費用がかかります。ただし、インスペクション費用も含めて事業の補助対象経費に含まれる場合があります。詳細は登録事業者または国土交通省の公募要領でご確認ください。
Q. 市区町村の補助金とこの事業は併用できますか?
制度によって併用の可否が異なります。同じ工事に対して複数の補助制度から重複して補助を受けられない場合もあるため、両方の利用を検討する場合は、それぞれの制度の窓口に事前に確認することをおすすめします。
Q. 賃貸に出す予定の実家でも申請できますか?
年度の公募要領によって、賃貸住宅も対象に含まれる場合があります。所有者が住むことを前提とした要件が設けられている年度もあるため、実家を賃貸目的でリフォームする場合は、その年度の要領で対象となるかを事前に確認してください。
Q. 事業者が見つからない地域ではどうすればいいですか?
地域によっては、この事業への登録事業者が少ない、または近隣にいない場合もあります。その場合は、国土交通省の事業者検索ページで対応可能なエリアを確認するか、地元の工務店に「対応できるか、対応できる事業者を紹介できるか」を相談してみる方法があります。
まとめ
長期優良住宅化リフォーム推進事業は、市区町村の解体補助金とは別に、国が全国一律で運用してきたリフォーム向けの補助制度です。ただし令和8年度は実施されておらず、現時点で新規に申請することはできません。実家の性能向上リフォームで使える制度を探す場合は、この記事の仕組みを参考にしつつ、国土交通省の住宅リフォーム支援制度の最新ページや、登録リフォーム事業者に「現在使える制度」を確認することをおすすめします。
出典
- 国土交通省「長期優良住宅化リフォーム推進事業」https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/shienjigyo_r7-03.html
- 令和7年度長期優良住宅化リフォーム推進事業(公式サイト、「令和7年度の交付申請は締め切りました。令和8年度、本事業は実施しません。」の記載を確認)https://r07.choki-reform.mlit.go.jp/