「隣近所が頼りになる」コミュニティ防災の始め方|無理なく備える方法とは
災害が起きたとき、最初に助け合うのは「自治体」でも「国」でもなく、すぐ隣にいる人たち=近所の人です。
地震・豪雨・台風…
非常時には、行政の支援や自衛隊の救援よりも早く、一番近くにいる人の行動が命を救うケースが多くあります。
- 玄関が倒壊して閉じ込められた → 向かいの家の人が救出
- 水や食料が尽きた → 隣の家から分けてもらった
- 避難が不安だった高齢者 → 近所の声かけで同行避難が可能に
こうしたエピソードの裏にあるのが、**「ゆるやかなつながり=コミュニティ防災」**です。
本記事では、無理なく・気軽に始められるコミュニティ防災の方法と、その重要性を実例とともに解説します。
自治会に所属していなくても、近所づきあいが苦手でもできる方法も紹介します。

<この記事を書いた人>
シャア
学生時代から防災や災害対策に強い関心を持ち、20年以上にわたり情報を収集・整理。防災訓練のボランティア経験や、災害時の避難準備を日常的に実践してきた「防災オタク」。最新の防災グッズや自治体の防災計画まで幅広く研究し、実生活に役立つ防災知識をわかりやすく伝えています。
なぜ「コミュニティ防災」が必要なのか?
● 災害時、行政の支援が届くのは“後”
災害発生から数時間~数日は「自助・共助」が基本。
共助の中心となるのが“隣近所”との関係です。
● 被災地データに見る「助けた人/助けられた人」の実態
| 質問 | 回答率(内閣府調査) |
|---|---|
| 救助されたとき、誰に助けられた? | 1位:近所の人(36%)/2位:家族(31%) |
| 災害直後、最初に頼ったのは? | 1位:近所・自治会/2位:友人・知人 |
このことからも、顔の見える距離にいる人の存在こそ、防災の要であると分かります。
コミュニティ防災の主な目的と役割
- 情報の共有と早期避難の促進
- 要配慮者(高齢者・障害者・乳幼児)の支援体制
- 安否確認・救助支援・物資融通
- 孤立を防ぎ、心のケアにつながる関係性の維持
ステップ①|まずは「顔見知り」をつくることから
● あいさつから始める防災
- 玄関先やエレベーターで、まずは「こんにちは」から
- ゴミ出しのときや公園で、軽い一言を添えるだけでも◎
- 週1回でもいいので、“話したことがある人”を増やす
● 自治会に入らなくても大丈夫?
もちろん参加しておくに越したことはありませんが、
それが難しい場合は「○○町内防災LINE」や「マンションの掲示板」に参加するだけでもOK。
ステップ②|「ゆるいネットワーク」をつくる
● チラシ・掲示板・LINEグループ
| 方法 | メリット |
|---|---|
| LINEグループ | 緊急連絡・情報共有がリアルタイムで可能 |
| アナログ掲示板 | デジタルが苦手な高齢者にも伝わる |
| ポスティングチラシ | 募集・情報周知に効果あり(防災訓練など) |
● 無理のない役割分担
- 安否確認係(1軒2戸ずつ)
- 情報収集係(スマホが得意な人)
- 子どもや高齢者を支える見守り班
「年1回の防災訓練だけ」でも、関係性づくりには十分な意味があります。
ステップ③|防災グッズを「貸し合える」ルールを決める
● 備蓄の分散と共有の発想
すべてを自分で準備するのではなく、
「あの家はカセットコンロを多めに持っている」
「この家は工具やロープが揃っている」
という状態にすることで、地域全体の防災力が上がります。
● あらかじめ備えておくと便利なもの(シェア用)
| カテゴリ | アイテム例 |
|---|---|
| 調理関係 | カセットコンロ・鍋・水タンク・紙皿 |
| 照明・電源 | 懐中電灯・ランタン・モバイルバッテリー |
| 救助用具 | スコップ・バール・工具セット |
| 情報 | ハザードマップ・避難所の案内資料のコピー |
「誰が何を持っているかリスト」を作っておくと、緊急時に迷わず連携できます。
ステップ④|災害後に「支え合える関係性」を保つ
● 災害後のメンタル面を支えるのもコミュニティの役割
- 「食べ物分けてくれた」「一緒に避難できた」
- その小さな体験が、信頼と感謝の絆につながります。
● 炊き出し・物資分配・片づけなどで再びつながる
| 活動例 | 特徴 |
|---|---|
| 共助炊き出し | 自宅に残る食材を持ち寄って温かい食事を提供 |
| 避難所の掃除・当番 | 協力しながら役割を分担することで一体感が生まれる |
| 子どもの見守り | 学校が閉鎖中の支え合い行動として効果的 |
実際の成功事例に学ぶ「つながりが命を守った」声
● 大阪北部地震(2018年)・高槻市・マンション自治会の例
「エレベーターが止まり高齢者が外出できなかったが、下の階の住人が声をかけて買い物代行。LINEグループがあったおかげでスムーズにつながった」
● 西日本豪雨(2018年)・岡山県真備町・個人宅の例
「避難所が満杯で入れなかったとき、近所の人が自宅を開放してくれた。普段から話していたから、家族全員でお世話になれた」
人付き合いが苦手でもできる!ゆるくつながるアイデア
● 手紙や掲示だけでも「つながりのきっかけ」に
- 例:「災害時、もしよければ声をかけてください」
- ポストにメモを入れるだけでも好印象
- 「一方的に頼られるのが不安」という人も、まず意思を表すだけで十分
● オンライン防災会議・匿名参加グループ
- ZoomやLINEオープンチャットで“顔出しなし”の参加も可能
- 声がけが苦手でも、情報共有からスタートできる
- 最近は「ゆるやか自治会」「顔なし災害ネットワーク」といった新しい形も増加中
まとめ|「命を守るのは、すぐそばにいる人」
防災は、装備やマニュアルだけでは成り立ちません。
一番大切なのは、“人と人との信頼”です。
- 「普段は話さないけど、あの人がいるだけで安心」
- 「何かあったら、あの家に声をかけよう」
- 「今日は天気がいいですね」から始まる信頼
これらすべてが、「災害時に命を救うネットワーク」の基盤となります。
無理せず、自分のできる範囲で、
“つながりの糸”を1本でも持っておくこと。
それが、暮らしを守る最強の防災術です。