限界集落候補、独自試算でマップ化|過疎地域881市町村の傾向を可視化

gonzo
ごんぞう
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2024年の能登半島地震では、復旧の遅れの背景に「今後人口が減っていく地域への大規模なインフラ投資は、公益性の観点から慎重にならざるを得ない」という現実があったと言われています。実家がある地域が将来そうした状況に近づいていないか、独自にデータで試算してみました。

実家をどうするか考えるとき、「その地域が将来どうなっていきそうか」は大きな判断材料の一つです。人口が減り続け、行政サービスの維持が難しくなっていく地域では、将来的にインフラ投資の優先順位が下がり、空き家の売却や活用がより難しくなっていく可能性があります。この記事では、総務省が公表している「過疎地域」に指定された881市町村を対象に、当サイト独自の指標で「厳しい変化が重なっている度合い」を試算し、マップにしました。

最終確認日:2026-08-17

必ずお読みください

このページの指数・順位は、当サイトが公開統計をもとに独自に試算したものであり、国や自治体による公式の判定・認定ではありません。「限界集落」という言葉を便宜的にタイトルに使っていますが、本来は集落(自治会・区)単位の概念であり、このページで扱っているのは市町村単位のデータです。指数が高いからといって、その地域の暮らしや価値を否定するものでは一切ありません。実際にそこにお住まいの方々の生活が今日明日どうにかなるという話ではなく、あくまで今後数十年単位で見たときの傾向を示す参考情報としてご利用ください。

ごんぞう
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ちなみに「過疎地域」というのは、当サイトが勝手に決めた区分ではありません。国の法律(過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法)にもとづいて、人口の減り具合や自治体の財政状況などが一定の基準を満たした市町村を、総務省が指定しているものです。2026年時点で、全国881の市町村が指定されています。

大前提:ここに載っている880市町村は、全部すでに「過疎」です

ここが一番大事なポイントなので、先にお伝えします。このページで扱っている880市町村は、そもそも全部が総務省の基準で「過疎地域」に指定されている市町村です。つまり、載っている時点で全部、程度の差こそあれ「人口が減っていきやすい」「行政サービスの維持が難しくなりやすい」という前提を国から認められている地域ということになります。

この記事の指数は、「過疎かどうか」を調べているのではありません。すでに過疎地域とされている880市町村の中だけで比べて、その中でもさらに厳しい状況(=限界集落に近づいている度合い)が重なっている場所はどこかを測るものです。いわば、「過疎地域の中の、さらに過疎度が高い市町村」を絞り込むランキングだと考えてください。指数が低めに出ている市町村でも、全国平均と比べればすでに過疎地域である点は変わらない、ということも忘れずにご覧ください。

試算の方法

対象は、総務省が「過疎地域」に指定している881市町村のうち、データが確認できた880市町村です。下の4つの指標について、それぞれ「880市町村の中で何番目に厳しい数値か」を調べ、それを0〜100の点数に置き換えています。4つの点数を平均したものが「指数」です。つまり、指数が高いほど、4つの指標すべてで、他の過疎地域と比べても厳しい状況に近い、ということになります。

指標意味データの時点出典
住民一人当たりの面積広いほど、インフラ(道路・水道等)を住民一人当たりで維持するコストが高くなる傾向令和5年度決算総務省「市町村別決算状況調」
財政力指数1.0に近いほど自主財源で運営できている。低いほど国からの交付税への依存度が高い令和5年度決算総務省「市町村別決算状況調」
人口増減率国勢調査人口の5年間の変化率。マイナス幅が大きいほど人口減少が急速平成27年(2015年)→令和2年(2020年)の5年間総務省「市町村別決算状況調」(令和5年度版に掲載の国勢調査人口より算出)
高齢化率65歳以上人口の割合。高いほど将来の担い手が少ない傾向令和8年(2026年)1月1日時点総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」

指数は0〜100の範囲で、数値が高いほど「4指標すべてで厳しい傾向が重なっている」ことを意味します。なお、「ハザードマップ上の危険エリア」も当初の検討項目でしたが、市町村単位で全国横断的に比較できる公的な統計が存在しなかったため、数値化は見送りました。実家の災害リスクが気になる場合は、お住まいの自治体が公開しているハザードマップを個別にご確認ください。

また、人口増減率(2015〜2020年)と高齢化率(2026年時点)は、参照している時点が異なります。それぞれ全国で最新かつ市町村単位で横断比較できる公的データを採用した結果、時点がそろわない形になっています。あわせて見る際は、この点をご了承ください。

指数の具体例:奈良県野迫川村(指数96.3、全880市町村中1位)

言葉だけだと分かりにくいと思うので、実際の計算例を示します。野迫川村の4つの指標は、880市町村の中でそれぞれ次の順位(点数)でした。

  • 住民一人当たりの面積:880市町村中上から2番目に広い → 99.4点
  • 財政力指数:880市町村中上位5%に入るほど低い(自主財源が少ない) → 95.6点
  • 人口増減率:880市町村中ほぼ最下位の減少幅(-20.5%) → 99.9点
  • 高齢化率:50.6%で、880市町村の中では上位10%ほどの高さ → 90.3点

この4つの点数(99.4・95.6・99.9・90.3)を平均すると96.3になり、これが指数として表示されています。4つの指標のうち1つだけが厳しくても指数はそこまで上がりませんが、野迫川村のように4つすべてで厳しい順位が重なると、指数が高くなる仕組みです。

ごんぞう
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データを見ていて驚いたのですが、福島県の飯舘村・葛尾村は人口増減率が+3000%を超えていました。異常値かと思って調べたところ、東日本大震災の帰還困難区域からの避難指示解除にともなって住民の方が戻ってきている、という実際の動きでした。数字の裏には必ず理由があるので、機械的な順位だけでなく、こうした背景も踏まえて見ていただければと思います。

全国マップ(都道府県別・市町村別)

過疎地域指定市町村880を、都道府県ごとに一覧化しました。四角にカーソルを合わせる(スマホはタップ)と、下の詳細欄に市町村名と指数の内訳が表示されます。都道府県名をクリックすると、その県のすべての市町村を一覧で見られます。色が赤に近いほど指数が高い(傾向が重なっている)ことを示します。

低い
高い(100点に近いほど過疎がさらに加速する可能性がある)

市町村の四角を選ぶと、ここに詳細が表示されます。都道府県名をクリックすると、その県の全市町村を一覧で見られます。

出典:総務省「市町村別決算状況調」、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」、総務省「過疎地域map」(過疎地域市町村一覧)

指数が高い市町村の例(上位15)

参考として、指数が高かった市町村の例を挙げます。繰り返しになりますが、これは当サイト独自の相対的な試算であり、これらの地域の価値や暮らしを否定するものではありません。

都道府県市町村指数高齢化率人口増減率
奈良県野迫川村96.350.6%-20.5%
長野県栄村95.654.6%-15.0%
秋田県上小阿仁村94.954.9%-13.4%
奈良県上北山村94.650.0%-13.3%
群馬県南牧村94.468.1%-18.6%
奈良県東吉野村93.959.5%-13.9%
奈良県天川村93.252.7%-13.1%
秋田県藤里町93.152.1%-13.8%
長野県天龍村93.161.2%-13.7%
熊本県球磨村93.051.9%-34.2%
群馬県神流町92.864.5%-15.8%
高知県大豊町92.860.9%-17.9%
岩手県西和賀町92.754.5%-12.7%
奈良県御杖村92.660.6%-15.9%
北海道積丹町92.448.5%-13.4%

なお、熊本県球磨村の人口増減率-34.2%は、令和2年7月豪雨(令和2年7月豪雨災害)による被害の影響が大きいと考えられます。このように、数値の背景には自然災害や過去の集団移転など、個別の事情があるケースが多いため、順位だけを見て判断しないようご注意ください。

実家じまいとの関わり

指数が高い地域に実家がある場合、将来的に次のようなことが起こりやすくなる可能性があります。

  • 人口減少にともない、道路・上下水道等のインフラ維持・更新の優先順位が下がる可能性
  • 空き家バンクや不動産市場での買い手・借り手が見つかりにくくなる可能性
  • 自治体の財政力低下により、独自の補助金・支援制度が縮小される可能性

だからといって、今すぐ売却や解体を急ぐべきという話ではありません。「先送りにするほど選択肢が狭まっていく可能性がある」という一つの判断材料として、早めに情報収集や家族間の話し合いを始めておくことをおすすめします。売る・貸す・解体の選択肢を比較したい場合は空き家、売る・貸す・解体で迷っている方へ、空き家バンクの活用を検討している場合は空き家バンクの使い方ガイドもあわせてご覧ください。

よくある質問

Q. このページの指数は、国や自治体の公式な「限界集落」認定ですか?

いいえ、違います。「限界集落」という言葉自体、法律上の正式な定義があるわけではなく、研究者が提唱した概念(65歳以上人口が集落人口の50%を超える集落)が一般に使われているものです。このページの指数は、当サイトが総務省の公開統計をもとに市町村単位で独自に試算したものであり、公式の判定・認定ではありません。

Q. なぜ「集落」ではなく「市町村」単位なのですか?

集落(自治会・区)単位の詳細な統計は全国横断で整備されておらず、当サイトが独自に入手することはできませんでした。市町村単位であれば総務省の公開統計で全国を横断的に比較できるため、現実的に扱える最小単位として市町村を採用しています。

Q. 自分の実家がある市町村が対象に入っていません。安心していいですか?

このページの対象は総務省が指定する「過疎地域」市町村に限定しています。対象外の市町村でも、人口減少や高齢化が進んでいる地域は全国に多くあります。対象外だからといって将来的な懸念がないというわけではない点にご注意ください。

まとめ

このマップは、実家がある地域の将来的な傾向を考えるための一つの参考情報です。指数が高い・低いにかかわらず、実家をどうするかは、地域への愛着やご家族の事情など、数字だけでは測れない要素も含めて判断されることだと思います。当サイトは特定の業者・専門家へのご紹介や送客は行っておりません。具体的な判断に迷う場合は、地元の不動産会社や自治体窓口、専門家にご相談ください。


出典

  1. 総務省「過疎対策」(過疎地域市町村一覧、令和4年4月1日現在)https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/2001/kaso/kasomain0.htm
  2. 総務省「地方財政状況調査関係資料 市町村別決算状況調」https://www.soumu.go.jp/iken/zaisei/card.html
  3. 総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/daityo/jinkou_jinkoudoutai-setaisuu.html
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