墓じまいとは?改葬許可の手続きと寺院とのやり取りを整理

実家の整理と同じタイミングで悩む方が多いのが「お墓」の問題!今日は「墓じまい」について、法律上の手続き(改葬許可)から、お寺とのやり取りの一般的な流れまで、公的な情報をもとに整理していきますね。
実家を相続すると、実家の建物や土地だけでなく、近くのお墓をどうするかという問題に直面することもあります。特に、実家から離れて暮らしている場合、「お墓参りに行けなくなる」「継ぐ人がいない」といった事情から、お墓を近くに移したり、墓地を返還したりする「墓じまい」を検討するケースは少なくありません。この記事では、墓じまいに関わる法律上の手続きと、お寺とのやり取りの一般的な流れについて、公的な情報をもとに整理しました。個別の手続きや、お寺との交渉に関する判断は、行政書士等の専門家や、物件所在地の市区町村窓口にご確認ください。
作成日:2026-08-12
更新日:2026-09-10
墓じまい(改葬)とは
「墓じまい」は一般的に使われる言葉で、法律上は「改葬」と呼ばれる手続きにあたります。「墓地、埋葬等に関する法律」(墓埋法)第2条では、改葬は「埋葬した死体を他の墳墓に移し、又は埋蔵し、若しくは収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すこと」と定義されています。既存のお墓から遺骨を取り出し、別のお墓や納骨堂、樹木葬・散骨などに移す(あるいは永代供養にする)ことは、この改葬にあたります。
出典:厚生労働省「墓地、埋葬等に関する法律」https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=79149000&dataType=0&pageNo=1
改葬には市区町村長の許可が必要
墓埋法第5条では、改葬を行う者は市町村長の許可を受けなければならないと定められています。この許可は、遺骨が現在ある場所(現在のお墓がある市区町村)の市町村長が行うとされています。無許可で改葬を行った場合は、法律上、罰則の対象になることも定められています。
出典:厚生労働省「墓地、埋葬等に関する法律」第5条・第21条
改葬許可申請の一般的な流れ
改葬許可を得るまでの流れは、多くの自治体で共通して、おおむね次のようになっています。
図:改葬許可申請の一般的な流れ
- 改葬先(新しいお墓・納骨堂・永代供養先など)を決める
- 改葬先の管理者から「受入証明書」を発行してもらう
- 現在のお墓の管理者(寺院・霊園等)から「埋蔵(埋葬)証明書」を発行してもらう
- 現在のお墓がある市区町村役場に、改葬許可申請書・受入証明書・埋蔵証明書を提出する
- 市区町村長から「改葬許可証」の交付を受ける
- 改葬許可証を、遺骨を取り出す現在の墓地の管理者、および改葬先の管理者に提示する
必要書類の様式や、申請時に必要な追加書類(申請者の本人確認書類、使用者と申請者が異なる場合の承諾書等)は自治体ごとに異なります。詳細は、現在のお墓がある市区町村の窓口(戸籍・住民課や環境衛生課等、担当課は自治体により異なります)にご確認ください。
出典:厚生労働省「墓地、埋葬等に関する法律」、横浜市「改葬(遺骨の移動)の手続き」、京都市「改葬許可申請の手続について」

ポイントは、「今のお墓の管理者」と「新しい受け入れ先」の両方から書類をもらう必要がある、という点です!新しい受け入れ先が決まっていないと、そもそも改葬許可申請そのものが進められないので、墓じまいを考え始めたら、まずは改葬先(またはお骨をどうするか)の検討から始めることになりそうです。
お寺とのやり取り(離檀料・閉眼供養)
先祖代々のお墓が寺院墓地にある場合、墓じまいにあたって寺院とのやり取りが発生することがあります。ここで出てくるのが「離檀料」や「閉眼供養(魂抜き)」といった言葉です。
これらは、墓埋法など法律で定められた制度ではなく、寺院・地域・宗派ごとの慣習として行われているものです。
- 離檀料:檀家(寺院を支える信徒)をやめる際に、これまでのお世話に対するお礼として寺院に渡されることがある金銭。法律上の支払い義務はなく、金額の目安や相場について公的な基準は存在しません。
- 閉眼供養(魂抜き):遺骨を取り出す前に、僧侶が墓石に宿るとされる魂を抜くために行う法要。宗派や地域によって呼び方・内容が異なります。
ここが間違えやすいので注意!
離檀料は、法律で金額や支払い義務が定められているものではありません。ただし、寺院との関係や地域の慣習によっては、事前の相談なく墓じまいを進めようとするとトラブルにつながるケースも報告されています。金額や進め方について寺院側との認識にずれが生じそうな場合は、早めに直接相談するか、行政書士等の専門家に間に入ってもらうことも選択肢の一つとされています。
離檀料の交渉や、寺院とのトラブルに関する個別の対応は、このサイトでは扱っておりません。行政書士(墓じまいの手続き代行を扱っている場合があります)や、消費生活センター、弁護士等の専門家にご相談ください。
墓石の撤去・処分の流れ
閉眼供養と改葬許可の取得が済んだあと、墓石を撤去して更地に戻す「原状回復」の工事が必要になるのが一般的です。この工事は、石材店や解体業者に依頼して行われます。
多くの墓地・霊園では、使用規則で「指定業者以外での工事を認めない」「原状回復のうえ返還すること」といった条件が定められていることがあります。工事業者を選ぶ前に、墓地の管理者(寺院・霊園事務所・自治体等)に規則を確認しておくと、後の手戻りを避けやすくなります。撤去費用の具体的な金額は、墓石の大きさ・立地(重機が入れるか等)・区画面積によって幅があり、一律の相場を示すことは難しいため、複数の業者から見積もりを取って検討することが一般的とされています。
実家じまいとの関わり
実家の相続をきっかけに、遠方のお墓の管理が難しくなり、墓じまいを検討し始めるケースは珍しくありません。実家の相続登記や空き家の扱いと同様、お墓についても「まだ手をつけていない」という方は多いと思います。焦って結論を出す必要はありませんが、改葬許可の手続きには新しい受け入れ先の決定が前提になるため、検討には一定の時間がかかることを踏まえて、早めに情報を集めておくとよさそうです。

墓じまいは、法律上の手続き(改葬許可)と、宗教・慣習上のやり取り(離檀料や供養)が両方からんでくるテーマです。このページでは制度面の事実を中心に整理しましたが、実際に進める際は、寺院や霊園との関係、ご家族の意向をふまえて、行政書士等の専門家にも相談しながら進めることをおすすめします。
よくある質問
Q. 改葬許可を取らずに遺骨を移すとどうなりますか?
墓埋法では、無許可で改葬を行った場合、罰則の対象になることが定められています。手続きを省略せず、必ず現在のお墓がある市区町村で許可を得てから進める必要があります。
Q. 改葬先が決まっていない場合はどうすればいいですか?
改葬許可申請には改葬先からの「受入証明書」が必要になるのが一般的なため、まずは新しい供養の形(別のお墓、納骨堂、樹木葬、永代供養、散骨等)を検討することが最初のステップになります。選択肢や進め方については、霊園・石材店等の説明を受けつつ、必要に応じて行政書士等にご相談ください。
Q. 墓じまいの費用はどれくらいかかりますか?
墓石の撤去費用、離檀料(発生する場合)、新しい供養先の費用など、複数の費用が組み合わさるため、一律の金額を示すことは困難です。それぞれの費用について、業者や寺院に個別に確認し、複数の見積もりを比較することをおすすめします。
まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 法律上の呼び方 | 改葬(墓地、埋葬等に関する法律) |
| 必要な許可 | 現在のお墓がある市区町村長の許可(改葬許可証) |
| 主な必要書類 | 改葬許可申請書、埋蔵(埋葬)証明書、受入証明書 |
| 無許可での改葬 | 罰則の対象(墓埋法第21条) |
| 離檀料・閉眼供養 | 法律上の義務ではなく慣習。金額の公的基準はなし |
| 墓石の撤去 | 石材店・解体業者に依頼するのが一般的。墓地の使用規則の確認が必要 |
出典
- 厚生労働省「墓地、埋葬等に関する法律」(昭和23年法律第48号)https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=79149000&dataType=0&pageNo=1
- 横浜市「改葬(遺骨の移動)の手続き」https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/koseki-zei-hoken/todokede/koseki-juminhyo/todokede-touroku/koseki/kaisou.html
- 京都市「改葬許可申請の手続について」https://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/page/0000246769.html