茨城県日立市の空き家解体補助金「利活用型」とは?解体後の土地活用が条件の制度を整理

茨城県日立市に、「空き家解体補助金(利活用型)」という制度があります。他の自治体の解体補助金とは少し違う名前がついているのが気になったので、内容を調べて整理してみました。
茨城県日立市は、老朽化した空き家の解体費用の一部を補助する「日立市空き家解体補助金(利活用型)」を実施しています。他の自治体の同様の制度と比べて、述べ床面積・解体費用のどちらにも下限が設けられている点が特徴的な制度です。この記事では、日立市公式サイトで公表されている内容を整理します。
作成日:2026-09-13
更新日:2026-09-26

制度の概要
日立市公式サイトで公表されている内容を整理すると、次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | 日立市空き家解体補助金(利活用型) |
| 補助率・上限額 | 補助対象経費の3分の1、上限50万円 |
| 主な対象要件 | 昭和56年5月31日以前に建築確認を受けた戸建・併用住宅、解体時点で1年以上不使用(または所有者等の死亡後に不使用)、延べ床面積50㎡以上、市内事業者による解体、解体費用50万円以上 |
| 交付回数 | 申請者1人につき1回限り |
| 受付 | 予算に限りがあるため、着手前に市への事前相談が必要 |
出典:日立市公式サイト「空き家解体補助金(利活用型)」。
「昭和56年5月31日」という基準日の意味
対象要件に出てくる「昭和56年5月31日以前に建築確認を受けた」という基準日は、建築基準法の耐震基準が改正された、いわゆる「新耐震基準」への切り替わりの節目にあたります。昭和56年6月1日以降に建築確認を受けた建物は新耐震基準、それより前の建物は旧耐震基準で建てられていることになります。
空き家の解体・改修補助金の多くが、この昭和56年5月31日を対象・非対象の分かれ目にしているのは、旧耐震基準の建物の方が、大地震の際に倒壊等のリスクが高いと考えられているためです。実家の建築確認日・建築年が分からない場合は、権利証(登記済証)や建築確認済証、固定資産税の課税明細書等で確認できることがあります。
述べ床面積50㎡・解体費用50万円という下限の意味
日立市の制度でもう一つ目を引くのが、「延べ床面積50㎡以上」「解体費用50万円以上」という、いわば下限のラインが設定されている点です。これまで本サイトで紹介してきた他の自治体の解体補助金では、上限額の定めは共通していても、対象となる建物の規模や費用の下限までは明記されていない例が多く見られました。
このような下限が設けられている背景として、物置や小規模な離れといった、住宅としての実態が乏しい建物を制度の対象から外す狙いがあるのではないかと考えられます。ただし、これはあくまで一般的に推測される制度設計の考え方であり、日立市が公式にその趣旨を説明しているわけではありません。正確な運用の考え方は、日立市の窓口に確認することをおすすめします。
ここが間違えやすいので注意!
解体費用の見積もりが50万円をわずかに下回ってしまうと、そもそも制度の対象外になる可能性があります。逆に、複数社から見積もりを取った結果、当初の想定より安く済みそうな場合は、事前に市の窓口へ対象要件を満たすかどうか確認しておくと安心です。
市内事業者による施工が条件になっている理由
日立市の制度では、解体工事を市内の事業者に発注することが対象要件の一つとされています。このように、補助金の対象を「市内事業者施工」に限定する自治体は珍しくありません。地域経済の活性化を制度の目的の一つに位置づけているためと考えられます。
実家が日立市にあるものの、普段から付き合いのある解体業者が市外にある、というケースもあるかもしれません。その場合は補助金の対象外になる可能性が高いため、業者選びの前に、まず市が対象としている事業者の範囲を確認しておくことをおすすめします。

「利活用型」という名称について
制度名に含まれる「利活用型」のとおり、日立市公式ページの「補助金交付の条件」には、解体後の跡地をどう使うかについて、次のいずれかに該当することが明記されています。
- 解体した日から1年以内に、跡地の売却等または賃貸(使用貸借を含む)契約を締結した
- 敷地を取得・賃借する契約を締結した日から1年以内に、当該空き家を解体した
- 解体した日から1年以内に、跡地を公共的利用(ポケットパーク、共同農園等、あらかじめ市に事前相談したもの)に供した
このいずれかを満たす必要があり、単に解体して更地にするだけでは、この補助金の交付条件は満たしません。また、賃貸(使用貸借を含む)の相手が配偶者または一親等の親族である場合は、補助対象者になりません。「跡地をどう使うか」の見通しが立っていない段階では、市の窓口に早めに相談することをおすすめします。
申請時に必要な書類からわかること
他の自治体の解体補助金では、「事前相談→交付申請→交付決定→着工」という順序で、工事に着手する前に交付決定を受けるのが前提になっている制度が多く見られます。しかし、日立市公式ページが示す申請時の必要書類を見ると、この記事で紹介する他の制度とは前提が異なる可能性があります。
日立市の申請時提出書類には、解体前の写真だけでなく、解体工事の請負契約書の写し、見積書または請求書の写し、領収書等の写し、解体工事の完了写真、不動産の売買契約書または賃貸借契約書等の写しが含まれています。完了写真や領収書は工事が終わっていなければ用意できない書類であるため、日立市の申請は、工事の契約・実施・完了までを済ませたうえで、これらの書類をまとめて提出する形に近いと考えられます。他の自治体で見られる「着工前の交付決定」を前提とせず、契約を結ぶ前に、必要書類と申請のタイミングを市の窓口(住政策推進課)に確認してください。
図:日立市の必要書類から推測される流れ(正式な手続き順序は市に要確認)
この図は、公式ページに列挙された必要書類の性質から推測したものであり、日立市が公式に案内している手続き順序そのものではありません。正確な申請様式・提出タイミング・スケジュールは、契約前に必ず日立市の窓口で確認してください。
他の自治体の制度と比べてみる
本サイトでこれまで紹介した自治体の解体補助金と並べてみると、補助率の考え方は共通していても、細かな要件はそれぞれ異なることが分かります。
| 自治体 | 補助率・上限額 | 特徴的な要件 |
|---|---|---|
| 日立市(茨城県) | 1/3、上限50万円 | 延べ床面積50㎡以上・解体費用50万円以上、市内事業者限定 |
| 東京都北区 | 1/2、上限80万円 | 1年以上居住なし、住民税滞納なし |
| 秋田市 | 1/2、上限50万円 | 特定空家等として助言・指導または勧告を受けていること |
この比較からも分かるとおり、「解体費用の半分程度が補助される」という考え方はある程度共通していても、対象要件は自治体によってかなり異なります。実家がある市区町村の制度を、必ず個別に確認することが欠かせません。他の自治体の実例は浜松市が空き家解体補助金の事前相談受付を開始、制度全体の仕組みは解体・改修の補助金ガイドもあわせてご覧ください。
実家じまいとの関わり
実家が日立市にあり、解体を検討している場合、まず実家の建築確認日(昭和56年5月31日以前かどうか)と、想定される解体費用が50万円以上になりそうかを確認するところから始めると、制度の対象になりそうかどうかの見当がつけやすくなります。市内事業者に絞って見積もりを取る必要がある点にも注意してください。予算には限りがあるため、検討を始めた段階で早めに市の窓口へ事前相談することをおすすめします。
よくある質問
Q. 解体費用が50万円をわずかに下回りそうです。対象になりませんか?
公表されている要件では「解体費用50万円以上」とされているため、下回る場合は対象外になる可能性があります。見積もりの内訳や対象経費の範囲によって判断が変わる可能性もあるため、必ず市の窓口に確認してください。
Q. 述べ床面積が50㎡未満の離れや倉庫だけを解体したい場合はどうなりますか?
公表されている要件は「述べ床面積50㎡以上」であるため、単独では対象にならない可能性が高いと考えられます。母屋と合わせて解体する場合の扱い等、詳細は市の窓口にご確認ください。
Q. 市外の解体業者に依頼したい場合、補助金は諦めるしかないですか?
公表されている要件では市内事業者による施工が条件とされています。市外業者での対応可否や例外の有無については、事前に市の窓口へ相談することをおすすめします。
Q. 過去に同じような補助金を受け取ったことがあります。再度申請できますか?
公表されている情報では「申請者1人につき1回限り」とされています。同一人物が複数回にわたって同じ補助を受けることは想定されていないと考えられます。
Q. 建築確認日が分からない場合、どうやって調べればいいですか?
権利証(登記済証)、建築確認済証、固定資産税の課税明細書等に記載がある場合があります。手元に資料がない場合は、法務局で登記事項証明書を取得する、あるいは市区町村の建築指導担当課に確認する方法もあります。
Q. 相続人が複数いる場合、代表者1人で申請できますか?
制度によって扱いが異なりますが、共有名義の不動産を解体する場合、共有者全員の同意が必要とされることが一般的です。申請自体は代表者が行える場合でも、同意書等の提出を求められる可能性があるため、事前に市の窓口に確認することをおすすめします。
まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助率・上限額 | 補助対象経費の3分の1、上限50万円 |
| 建物の基準日 | 昭和56年5月31日以前の建築確認(旧耐震基準) |
| 規模・費用の下限 | 延べ床面積50㎡以上、解体費用50万円以上 |
| 施工業者 | 市内事業者限定 |
| 「利活用型」の意味 | 解体後1年以内の跡地売却・賃貸、または敷地取得後1年以内の解体等、跡地活用に関する3条件のいずれかを満たす必要あり |
日立市の事例からも分かるとおり、同じ「解体補助金」という言葉でも、基準日・規模の下限・施工業者の条件等、自治体ごとに設計思想が異なります。「うちの市にもあるはずだ」と思い込まず、実家がある市区町村の制度を個別に、公式情報で確認することが遠回りに見えて一番確実な方法です。本記事の内容は2026年9月時点で日立市公式サイトに掲載されていた情報を整理したものです。制度の詳細・最新の受付状況は、必ず日立市公式サイトまたは担当窓口(都市建設部住政策推進課)でご確認ください。当サイトは特定の業者・専門家へのご紹介や送客は行っておりません。
出典
- 日立市「空き家解体補助金(利活用型)令和8年度版」https://www.city.hitachi.lg.jp/machizukuri_kankyo/hojokin_joseikin/1007381/1002708.html