遺品整理で「見積もりより10万円高い」請求も|国民生活センターの注意喚起を整理

国民生活センターが、遺品整理サービスに関するトラブル事例と注意喚起を公表しました。「電話で聞いた見積もりより、作業後の請求額が10万円も高かった」という事例も紹介されています。実家じまいで遺品整理業者を検討している方には、ぜひ知っておいてほしい内容です。
国民生活センターは令和7年10月、見守り情報として「遺品整理を頼むときは、事業者選びは慎重に」という注意喚起を公表しました。実際に寄せられた相談事例をもとに、見積もりと実際の請求額が大きく異なるトラブルや、処分してほしくなかった品が誤って処分されてしまうトラブルが紹介されています。当サイトは特定の業者へのご紹介や送客は行っておりませんが、遺品整理を検討する際に知っておきたい注意点として、この発表内容を整理します。
作成日:2026-09-23
更新日:2026-09-23
発表の概要
国民生活センターは、全国の消費生活センター等に寄せられた相談情報をもとに、消費者トラブルの注意喚起を継続的に発信しています。今回の「見守り情報」は、遺品整理サービスに関する相談を取り上げたもので、高齢化や核家族化を背景に、遺品整理サービスの利用が広がる一方で、契約や作業内容をめぐるトラブルも各地で発生していることが紹介されています。
出典:国民生活センター 見守り情報第525号「遺品整理を頼むときは、事業者選びは慎重に」(令和7年10月30日発表)(https://www.kokusen.go.jp/mimamori/mj_mailmag/mj-shinsen525.html)

事例①見積もりより10万円高い請求
公表された相談事例の一つに、電話で「約20万円」という見積もりを口頭で伝えられ依頼したところ、作業が終わった後になって「30万円」を請求されたというケースが紹介されています。この事例では、事前に書面での見積書が交付されていなかったことも問題として指摘されています。
口頭の見積もりだけで契約を進めてしまうと、後から「想定していたより荷物が多かった」「追加の廃棄物処理費用がかかった」等の理由で、金額が一方的に引き上げられても、証拠がなく交渉が難しくなるリスクがあります。書面での見積書を必ず受け取り、内訳(作業員数、想定作業時間、廃棄物処分費用等)まで確認しておくことが重要です。
事例②「残しておいてほしい遺品」が誤って処分された
もう一つの事例として、依頼者が「残しておいてほしい」と伝えていたはずの書類やアルバムが、作業中に誤って処分されてしまい、回収できなくなったというトラブルも紹介されています。写真や手紙等、金銭的な価値はなくても本人・家族にとってかけがえのない品は、一度処分されてしまうと取り返しがつきません。
このようなトラブルの背景には、「残すもの」と「処分するもの」の線引きが、依頼者と作業員の間で明確に共有されていなかったことがあると考えられます。特に、遠方に住む家族が立ち会わずに作業を依頼するケースでは、こうした認識のズレが起きやすくなります。

なぜこうしたトラブルが起きやすいのか
遺品整理サービスは、葬儀後の限られた期間内に、家財の量や品目を正確に把握しないまま契約を急いで決めてしまいがちな性質があります。「早く片付けたい」という心理的な焦りが、見積もりの精査や複数社比較を後回しにする要因になりやすいと考えられます。また、遺品整理業には、後述するように業種特有の「許可」の仕組みがあるにもかかわらず、これを確認せずに依頼してしまうケースが少なくないことも、トラブルの温床になっていると考えられます。
さらに、実家が遠方にある場合、依頼者本人が現地に頻繁に足を運べず、電話やメールだけで打ち合わせを済ませてしまうことも、トラブルが起きやすくなる一因と考えられます。実物を見ずに口頭の説明だけで量や状態を伝えると、見積もり時点の想定と実際の作業内容にズレが生じやすくなります。可能であれば、少なくとも見積もり時には現地に立ち会う、あるいは家財の状況が分かる写真を業者と共有しておく等の工夫が、こうしたズレを減らすことにつながります。
遺品整理業に必要な「許可」の仕組み
遺品整理の作業の中には、不用品を「廃棄物」として処分する行為が含まれます。一般家庭から出る廃棄物(一般廃棄物)を業として収集・運搬するには、市区町村の「一般廃棄物処理業」の許可が必要とされています。一方、まだ使える家財等を買い取る場合には、都道府県公安委員会の「古物商」許可が必要になります。
| 許可の種類 | 必要になる行為 | 許可の発行元 |
|---|---|---|
| 一般廃棄物処理業許可 | 家庭から出る不用品(廃棄物)の収集・運搬 | 市区町村 |
| 古物商許可 | まだ使える家財等の買取・販売 | 都道府県公安委員会 |
これらの許可を持たずに営業している事業者に依頼してしまうと、不法投棄や不適切な処分につながるリスクがあるだけでなく、依頼者側もトラブルに巻き込まれる可能性があるとされています。事業者のウェブサイトや見積書に許可番号が記載されているか、依頼前に確認しておくことが望ましいとされています。
国民生活センターが呼びかける対策
国民生活センターは、今回の発表の中で、次のような対策を呼びかけています。
- 契約前に、必ず複数の事業者から書面またはそれに準じる形での見積もりを取ること
- 一般廃棄物処理業の許可の有無を、事業者所在地の市区町村に確認すること
- 「残すもの」「処分するもの」の区分けを、作業前に書面や写真等で明確に共有しておくこと
- できる限り家族が作業に立ち会うこと
- 契約内容や説明に納得できない場合は、その場で契約せず、最寄りの消費生活センター(消費者ホットライン「188」)に相談すること
図:遺品整理のトラブルを防ぐための確認ステップ(国民生活センターの呼びかけをもとに作成)
費用の相場感を先に知っておくことも対策になる
今回のようなトラブルを避けるうえでは、依頼する前に、ある程度の費用相場を把握しておくことも有効な対策の一つです。当サイトの実家じまいにかかる費用まとめでは、複数の業界サイトが公表している間取り別の目安として、2DK程度で約9万円〜、3LDK程度(戸建て)で約17万円〜50万円、4LDK程度で約22万円〜70万円という金額を紹介しています。事前にこうした相場感を頭に入れておけば、見積もり額が相場から大きく外れていないかを、自分自身でもある程度チェックできます。極端に安い見積もりや、逆に相場を大きく超える見積もりが出てきた場合は、内訳を細かく確認する、あるいは他社にも見積もりを依頼する等、慎重に判断することをおすすめします。
契約前にチェックしたいポイント
上記の対策を踏まえ、契約前に確認しておきたいポイントをまとめると次のとおりです。
- 見積書は書面で受け取り、作業内容・人数・時間・追加費用の条件まで明記されているか
- 一般廃棄物処理業許可(または委託を受けた許可業者との連携)が確認できるか
- キャンセル料や追加料金が発生する条件が契約書に明記されているか
- 買取(古物)を依頼する場合、古物商許可を持っているか
- 作業後の受領書・完了報告書が発行されるか
ここが間違えやすいので注意!
「相見積もりを取るのは業者に失礼」と感じて1社だけで決めてしまう方もいますが、遺品整理業界では複数社への見積り依頼は一般的な行為とされています。国民生活センターも複数見積りの取得を対策の一つとして挙げているとおり、金額や対応の比較は、トラブル予防のために必要な工程と考えてよさそうです。
実家じまいとの関わり
遺品整理は、実家じまいの中でも比較的早い段階で発生する作業でありながら、金額や業者選びで悩みやすい工程でもあります。当サイトの実家じまいにかかる費用まとめでは、間取り別の遺品整理費用の目安を紹介していますが、今回のような契約トラブルを避けるためには、金額の目安だけでなく、許可の有無や見積もりの取り方といった「業者選びの手順」も合わせて押さえておくことが重要です。家財の片付けと並行して実家の解体を検討している場合は解体費用かんたんシミュレーターもご活用ください。
よくある質問
Q. 遺品整理業者の許可の有無は、どうやって確認すればいいですか?
事業者のウェブサイトや見積書に許可番号が記載されている場合はそれを確認できますが、記載がない、あるいは確証を持ちたい場合は、事業者の所在地(または実際に作業を行う地域)の市区町村の廃棄物担当窓口に、一般廃棄物処理業の許可を得ているかどうかを直接確認する方法があります。
Q. トラブルになってしまった場合、どこに相談すればいいですか?
お住まいの地域の消費生活センターに相談できます。消費者ホットライン「188(いやや!)」に電話すると、最寄りの消費生活センター等を案内してもらえます。契約書面や見積書、やり取りの記録等は、相談の際の重要な資料になるため、保管しておくことをおすすめします。
Q. 自分たちですべて片付ける「自力整理」なら、こうしたトラブルは避けられますか?
業者とのトラブルは避けられますが、粗大ゴミの処分手続きや、大量の家財を運び出す労力・時間的な負担は自分たちで背負うことになります。業者に依頼するか自力で行うかは、費用・時間・体力のバランスで判断することになりそうです。
Q. 見積もり後にキャンセルすると、キャンセル料が発生しますか?
見積もりの提示だけであれば、通常キャンセル料は発生しないとされていますが、契約書に署名した後のキャンセルについては、契約書に記載された条件によります。契約前に、キャンセル時の条件についても確認しておくことをおすすめします。
Q. 遺影や仏壇は、遺品整理業者に処分してもらってもいいのでしょうか?
遺影・位牌・仏壇等は、通常の家財とは異なり、閉眼供養(魂抜き)等の儀式を経てから処分することが一般的とされています。処分の考え方や具体的な手順は仏壇のしまい方(仏壇じまい)とは?で整理していますので、あわせてご確認ください。
Q. 家族の中に「早く片付けたい」人と「もう少し考えたい」人がいて意見が合いません
遺品整理のペースに対する感じ方は家族によって異なるのが自然です。全員が一度に納得できる結論を急がず、まずは「絶対に残したいもの」だけを先に取り分けておき、それ以外の処分は後日改めて相談する、といった段階的な進め方をとる家庭もあります。急いで契約を決める前に、家族間で一度立ち止まって話し合う時間を取ることも、トラブル予防の一つの方法と言えそうです。
まとめ
国民生活センターが公表した事例からは、見積もりと実際の請求額の食い違いや、大切な遺品の誤処分といったトラブルが、遺品整理サービスの利用において実際に起きていることが分かります。複数社からの書面見積もり、許可の確認、残すものと処分するものの事前共有といった基本的な対策を踏まえるだけでも、こうしたトラブルのリスクは大きく下げられると考えられます。当サイトは特定の業者のご紹介や送客は行っておりませんが、業者選びの際の判断材料として、今回の内容を役立てていただければと思います。
出典
- 国民生活センター 見守り情報第525号「遺品整理を頼むときは、事業者選びは慎重に」(令和7年10月30日発表)https://www.kokusen.go.jp/mimamori/mj_mailmag/mj-shinsen525.html