自筆証書遺言書保管制度とは?累計10万件超に|検認不要のメリットを整理

「実家に遺言書があるか分からない」「あっても本物かどうか不安」という声、よく聞きます。実は法務局に遺言書を預けられる制度があり、利用件数も年々増えています。
自分で書いた遺言書(自筆証書遺言)は、自宅で保管すると紛失・改ざん・発見されないといったリスクがあります。こうした課題に対応するため、法務局が遺言書を保管してくれる「自筆証書遺言書保管制度」があります。この記事では、制度の仕組みと利用状況を整理します。
最終確認日:2026-08-27
自筆証書遺言書保管制度とは
この制度は、2020年(令和2年)7月10日にスタートした、法務局(遺言書保管所)が自筆証書遺言を原本ごと保管してくれる制度です。遺言者本人が法務局の窓口に出向いて申請する必要があり、郵送や代理人による申請はできません。
保管の際、法務局の職員が遺言書の形式面(日付・署名・押印等の民法上の要件)を確認するため、自宅で保管する場合に比べて、形式不備によって遺言が無効になるリスクを減らせるというメリットがあります。ただし、遺言の内容そのものの有効性(財産の記載が適切か等)まで審査してもらえるわけではない点には注意が必要です。
主なメリット
- 検認手続きが不要:自宅保管の自筆証書遺言は、相続開始後に家庭裁判所での「検認」という手続きが必要ですが、法務局保管の遺言書はこの検認が不要になります
- 紛失・改ざんの防止:原本は法務局で保管され、画像データも保存されるため、紛失や第三者による改ざんのリスクを減らせます
- 相続人への通知の仕組み:遺言者が希望すれば、遺言者の死亡後、あらかじめ指定した相続人等に法務局から通知が届く仕組みも用意されています
利用件数は増加傾向
各種報道によると、制度開始から2025年7月時点までの保管申請件数の累計は101,968件となり、10万件を超えました。年間の申請件数も、2024年は23,419件と、制度開始以来初めて2万件を突破し、2年連続の増加となっています。相続登記の義務化等をきっかけに、生前の相続対策への関心が高まっていることが背景にあると考えられます。
ここが間違えやすいので注意!
上記の利用件数は、各種報道機関による集計を参考にしたものです。当サイトが法務省の一次統計を直接確認したものではないため、正確な最新の件数は、法務省または管轄の法務局にご確認ください。
利用するときの注意点
- 申請は遺言者本人が、指定の法務局(遺言書保管所)に出向いて行う必要があります
- 保管の申請には手数料がかかります(申請1件につき定額の手数料が必要です)
- 保管後も、遺言者本人であれば内容の変更・撤回(保管の申請の撤回)が可能です
- 形式面の確認はしてもらえますが、内容面(遺留分への配慮等)の相談は対象外のため、内容について不安がある場合は司法書士や弁護士等に別途相談する必要があります
実家じまいとの関わり
実家じまいでは、「遺言書があるかどうか」で手続きの進め方が大きく変わります。法務局保管の遺言書であれば、相続人は法務局に「遺言書情報証明書」の交付を請求することで内容を確認でき、検認の手間もかかりません。親がまだ元気なうちであれば、この制度の利用を含めて、将来の遺言書の有無や保管場所について話し合っておくことも、実家じまいをスムーズに進める一助になります。遺産分割が難航しやすいケースについては相続人が複数いる場合、実家はどうなる?もあわせてご覧ください。
よくある質問
Q. 親が保管制度を使ったかどうか、相続人が事前に調べられますか?
遺言者の生存中は、本人の同意なく相続人が内容を確認することはできません。死亡後であれば、相続人等は法務局に対して「遺言書保管事実証明書」の交付を請求し、遺言書が保管されているかどうかを確認できます。
Q. 公正証書遺言との違いは何ですか?
公正証書遺言は公証人が作成に関与し、内容面も含めた確認が行われる遺言方式です。自筆証書遺言書保管制度は、あくまで遺言者本人が作成した自筆証書遺言を法務局が保管する制度であり、内容面の相談・確認までは行いません。どちらの方式が適しているかは、財産の内容や希望によって異なるため、専門家にご相談ください。
まとめ
自筆証書遺言書保管制度は、検認不要・紛失防止といったメリットがあり、利用件数も年々増えています。実家じまいをスムーズに進めるためにも、親が元気なうちに、遺言書の有無や保管方法について話しておくことをおすすめします。
出典
- 法務省「遺言書保管制度とは?」https://www.moj.go.jp/MINJI/01.html
- 利用件数は、法務省の公表を受けた各種報道機関の集計を参考に当サイトで整理