実家じまいとは?意味・進め方の全体像・関連する手続きをまとめて解説

「実家じまい」という言葉、最近よく聞くけど、結局何をすることなのか分かりにくいですよね。今回は、実家じまいの意味と全体像を、当サイトの記事への案内も兼ねてじっくり整理しました。
「実家じまい」は法律で決まった正式な用語ではありませんが、親が亡くなった、または施設に入る等の理由で誰も住まなくなった実家について、相続・不動産・お墓などの手続きをまとめて整理し、いずれかの形で決着をつけることを指す言葉として、近年よく使われるようになっています。この記事では、実家じまいで具体的に何をするのか、なぜ今このテーマが注目されているのかを整理し、当サイトの各記事への入り口としてまとめました。
作成日:2026-08-17
更新日:2026-09-10
「実家じまい」という言葉と、似た言葉との違い
「〜じまい」という言い方は、「店じまい」のように「それまで続いていたものに区切りをつける」というニュアンスで使われます。実家じまいも同様に、実家という場所・不動産・そこにまつわる制度上の手続きに区切りをつける、という意味合いで使われています。似た言葉との違いを整理すると、次のようになります。
| 用語 | 主な対象 | 実家じまいとの関係 |
|---|---|---|
| 実家じまい | 実家(建物・土地)と、それに付随する相続・お墓等の手続き全般 | — |
| 生前整理 | ご本人が存命のうちに、自分の持ち物や財産を整理すること | 実家じまいの前段階として、親自身が生前整理をしておくケースがある |
| 遺品整理 | 亡くなった方の身の回りの物(家財・衣類等)を整理すること | 実家じまいの中の一部の作業(実家の中身を空にする作業)にあたる |
| 空き家対策 | 行政・地域の視点から見た、空き家全般への対応 | 実家じまいをしないまま放置された実家が、行政上の「空き家」になる |
つまり、実家じまいは「生前整理」「遺品整理」よりも範囲が広く、相続登記や税金、お墓の問題までを含む総合的な取り組みだと考えると分かりやすいと思います。
なぜ今「実家じまい」が話題になっているのか
背景には、全国的な空き家の増加と高齢化、そして相続登記の義務化という3つの動きがあります。
総務省統計局の「令和5年住宅・土地統計調査」(2023年10月1日時点、確報集計)によると、全国の空き家数は900万2千戸で過去最多、空き家率は13.8%と過去最高を更新しました。このうち、別荘等の二次的住宅や賃貸・売却用を除いた、実家じまいの対象になりやすい「その他の住宅」だけでも385万6千戸にのぼり、2018年の調査から37万戸増加しています。つまり、実家じまいに関わる問題は、一部の人だけの特別な事情ではなく、全国で年々増え続けている社会全体の課題になっているということです。
出典:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果」(https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/tyousake.html)
さらに、令和6年4月1日からは相続登記が法律上の義務になり、正当な理由なく期限内(原則3年以内)に申請しないと10万円以下の過料の対象になることがあります。これにより、「そのうちやろう」と後回しにしにくい状況になっている点も、実家じまいへの関心が高まっている理由の一つです。
実家じまいで発生する、主な手続き・論点
実家じまいは1つの手続きではなく、性質の異なる複数の手続きの集合体です。大きく分けると次の5つの分野があります。
図:実家じまいを構成する5つの分野
① 相続の手続き
実家じまいの中でも、期限が明確に決まっている手続きが集中している分野です。相続放棄の検討(3ヶ月以内)、準確定申告(4ヶ月以内)、相続税の申告(10ヶ月以内)、相続登記(3年以内・義務化)と、期限を過ぎると選択肢が狭まったり、過料の対象になったりする手続きが並んでいます。相続人が複数いる場合は、誰がどの財産を引き継ぐかという遺産分割の話し合いも必要になります。
② 実家(建物・土地)をどうするか
相続手続きが一段落した後に向き合うことになるのが、実家という不動産そのものをどうするかという問題です。売る・貸す・解体する・当面はそのままにする、といった選択肢があり、それぞれに関わる制度(3,000万円特別控除、空き家バンク、解体補助金)が異なります。どれが正解ということはなく、家の状態や立地、相続人の意向によって現実的な選択肢は変わってきます。
③ お墓・仏壇の扱い
実家の整理と同時期に、実家近くにあるお墓や、家の中にある仏壇をどうするかという問題が発生することも多くあります。特にお墓を別の場所に移す(改葬する)場合は、市区町村長の許可(改葬許可証)が必要になるなど、独自の手続きが存在します。
④ お金・税金・補助金
相続税がかかるかどうかの概算、財産に応じた各種控除、自治体の補助金など、お金に関わる制度も実家じまいには多く登場します。iDeCoのような、通常の相続手続きとは別枠で扱われる財産もあるため、見落としがないか一通り確認しておくと安心です。また、相続登記・解体・遺品整理・お墓など、実家じまい全体でどれくらいの費用がかかるのかをまとめて把握したい場合は、費用相場の記事もあわせてご覧ください。
⑤ 地域の将来性を踏まえた判断材料
実家をどうするかを考えるうえで、その地域が将来どうなっていきそうかという視点も判断材料の一つになります。人口・地価・空き家率の推移を都道府県単位・市町村単位で確認できるデータツールを当サイトでは用意しています。

一度に全部やろうとすると、確実に息切れします。まずは①の期限がある手続きだけ押さえて、②〜⑤はご自身のペースで、状況が固まってから進めるくらいで十分だと思います。
実家じまいで、よくある後悔・失敗パターン
実家じまいでは、「知らなかった」ことが原因で、後から選択肢が狭まってしまうケースがあるとされています。代表的なパターンを紹介します(個別の状況によって当てはまるかどうかは異なります)。
- 相続放棄の期限(3ヶ月)を過ぎてしまう:借金の有無を確認する前に期限が来てしまい、選択肢がなくなるケース
- 権利関係を確認しないまま解体してしまう:相続人全員の合意がないまま解体を進め、後からトラブルになるケース
- 相続登記をしないまま放置し、名義人が増えてしまう:次の代の相続が発生し、関係者が増えて手続きが複雑化するケース
- 空き家を放置し、「特定空家等」に指定される:固定資産税の住宅用地特例が外れ、税額が上がってしまうケース
- お墓の管理者がいなくなっていることに気づかない:離れて暮らしているうちに無縁墓になりかけていた、というケース
いずれも、「まず全体像と期限を把握しておく」ことである程度防げるものです。これが、当サイトが「期限つき一覧」や「チェックリスト」を用意している理由でもあります。
ざっくりとした時系列イメージ
| 時期 | やること |
|---|---|
| 直後〜2週間 | 死亡届、年金・保険関係の手続き |
| 3ヶ月以内 | 相続放棄をするかどうかの判断 |
| 4〜10ヶ月 | 準確定申告、相続税の申告(該当する場合) |
| 数ヶ月〜数年 | 遺品整理、実家をどうするか(売る・貸す・解体)の検討、墓じまいの検討 |
| 3年以内 | 相続登記(義務) |
「期限があるもの」と「急がなくてよいもの」が混在しているのが実家じまいの分かりにくさの正体です。まず期限があるものだけ確実に押さえ、それ以外は落ち着いてから考える、という進め方で問題ありません。より詳しい期限の一覧は実家じまいの手続き、期限が近い順に一覧をご覧ください。
実家じまいには、結局どれくらい時間がかかる?
これは家庭の状況によって大きく異なるため一概には言えませんが、「相続の事務手続き」だけであれば10ヶ月〜3年程度、実家という不動産の最終的な処分(売却・解体等)まで含めると数年単位になることが多いようです。相続人同士の話し合いに時間がかかる場合や、遠方に住んでいて頻繁に現地に行けない場合は、さらに長くなる傾向があります。「早く終わらせなければ」と焦る必要はありませんが、相続登記のように期限が決まっている手続きだけは、意識して進めておくことをおすすめします。
よくある質問
Q. 実家じまいは、いつから始めればいいですか?
決まったタイミングはありません。ただし相続放棄の検討(3ヶ月以内)など期限がある手続きもあるため、まずは親が亡くなった直後にやることチェックリストを確認し、期限があるものから着手することをおすすめします。
Q. すべて自分だけで進める必要がありますか?
相続人が複数いる場合は、他の相続人との話し合いが必要になる場面が多くあります。また、法的な判断が必要な場面では司法書士・税理士・行政書士等の専門家に相談することもできます。当サイトは特定の業者・専門家へのご紹介や送客は行っておりません。
Q. 親がまだ元気ですが、今から準備しておくことはできますか?
親御さんが存命のうちにできることとしては、実家の権利関係(登記名義や共有者の有無)の確認、財産の大まかな棚卸し、お墓の管理状況の確認などがあります。これらは一般に「生前整理」と呼ばれる領域で、実家じまいをスムーズに進めるための準備になります。
Q. 実家が遠方にあり、頻繁に通えません。それでも進められますか?
相続登記や役所の手続きの多くは郵送やオンラインで対応できるものもあります。ただし、実家の状態確認や解体・売却の打ち合わせなど、現地でしか対応できない場面もあります。頻繁に通えない場合は、司法書士や不動産業者など、現地で動いてもらえる専門家に相談するという方法もあります。
まとめ
実家じまいとは、相続・不動産・お墓・お金など、複数の手続きが同時期に発生する状況をまとめて指す言葉です。全国で空き家が900万戸を超え、相続登記も義務化された今、多くの家庭にとって他人事ではないテーマになっています。すべてを一度に理解しようとせず、まずは期限があるものから、当サイトの各記事を参考に一つずつ整理していただければと思います。
出典
- 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果」https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/tyousake.html
- 法務省「相続登記の申請義務化に関するお知らせ」