【令和8年4月開始】住所・氏名変更登記が義務化|相続登記との違いと過料に注意

「相続登記の義務化」はこのサイトでも詳しく紹介してきましたが、実はその後、令和8年4月1日からもう一つ別の登記が義務化されているのをご存じでしょうか?今回はこの「住所等変更登記の義務化」について整理します。
相続登記を済ませて、実家の名義を自分に変更した——それで手続きは終わり、と思っていませんか?実は令和8年4月1日から、不動産の所有者が引っ越しや結婚などで住所・氏名が変わった場合、その変更登記も義務になりました。すでに施行から数ヶ月が経っていますが、相続登記に比べてまだあまり知られていない印象があるため、今回まとめて整理します。
最終確認日:2026-08-17
住所等変更登記の義務化とは
不動産の所有者(登記名義人)は、住所や氏名・名称に変更があった日から2年以内に、変更登記の申請をすることが義務になりました。実家を相続して名義変更したあと、自分自身が引っ越した場合や、結婚等で名字が変わった場合も対象になります。出典:不動産登記法第76条の5(法務省)。
この制度は令和8年4月1日に施行されています。背景には、不動産登記簿を見ても所有者や連絡先が分からない「所有者不明土地」が全国で増え、周辺環境の悪化や公共事業の妨げなど社会問題になっていることがあるとされています。
「相続登記の義務化」とは別の制度です
紛らわしいのですが、この2つは別々の義務です。
| 制度 | いつから | 何をする義務か |
|---|---|---|
| 相続登記の義務化 | 令和6年4月1日 | 相続で不動産の名義が変わったら、3年以内に相続登記を申請する |
| 住所等変更登記の義務化 | 令和8年4月1日 | 登記済みの所有者本人の住所・氏名が変わったら、2年以内に変更登記を申請する |
つまり、相続登記を済ませたあとも、引っ越しのたびに別途手続きが必要になるということです。相続登記については相続登記の義務化とは?期限・過料・対象者を法務省の情報から整理で詳しく解説しています。

「相続登記さえ済ませれば、あとはもう不動産まわりの手続きは終わり」と思ってしまいがちですが、住み始めたあと引っ越すたびに、実はこちらの義務も発生する点に注意が必要です。
施行前に住所が変わっていた場合の経過措置
「施行日より前に引っ越していて、まだ住所変更登記をしていない」という方も対象です。この場合は、令和10年3月31日までに変更登記を完了する必要があるとされています。実家を相続して名義変更した後に自分が引っ越した、というケースに心当たりがある方は、登記簿上の住所が今の住所と一致しているか、一度確認しておくと安心です。
罰則:正当な理由なく怠ると過料の対象に
正当な理由がないのに変更登記の申請を怠ったときは、5万円以下の過料の対象になるとされています(不動産登記法第164条第2項)。ただし、法務局からの催告(お知らせ)があったあとに、正当な理由なく応じなかった場合に限られるとされており、うっかり忘れていてすぐに過料になるわけではないようです。
法務省が示している「正当な理由」の例としては、次のようなケースが挙げられています。
- 検索用情報の申出等が済んでおり、法務局側の職権手続きがまだ完了していない場合
- 市区町村合併など行政区画の変更による住所変更
- 重病等、申請者本人にやむを得ない事情がある場合
- DV被害者等で避難中の場合
- 経済的に困窮している場合
ここが間違えやすいので注意!
「正当な理由」に当てはまるかどうかは、最終的には登記官が個別に判断するとされており、自己判断で「うちは大丈夫」と決めつけるのは避けたほうがよさそうです。心当たりがある場合は、法務局や司法書士に確認することをおすすめします。当サイトは特定の業者・専門家へのご紹介や送客は行っておりません。
「スマート変更登記」という無料の仕組みもある
毎回自分で変更登記を申請するのが負担、という場合のために、「スマート変更登記」という制度も用意されています。あらかじめかんたんな申出を1回しておくと、その後は法務局が住民票の情報等をもとに住所等の変更を確認し、職権で登記をしてくれる仕組みです。これを利用しておけば、引っ越しのたびに自分で登記申請をしなくても、義務違反には問われなくなるとされています。詳しい手続き方法は、法務省の特設ページでご確認ください。
実家じまいとの関わり
実家を相続して名義変更(相続登記)まで終えた方も、そこがゴールではないという点がポイントです。将来、自分自身が引っ越しをしたり、結婚等で名字が変わったりしたときは、忘れずに変更登記(またはスマート変更登記の申出)をしておく必要があります。相続に伴う一連の手続き全体を確認したい場合は、実家じまいの手続き、期限が近い順に一覧もあわせてご覧ください。
まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | 住所等変更登記の義務化 |
| 施行日 | 令和8年4月1日 |
| 義務の内容 | 住所・氏名変更日から2年以内に変更登記を申請 |
| 経過措置の期限 | 令和10年3月31日(施行前の未登記分) |
| 罰則 | 正当な理由なく怠ると5万円以下の過料 |
| 無料の代替手段 | スマート変更登記(1回の申出で法務局が職権対応) |
ご自身の登記簿上の住所・氏名が今の状態と一致しているか不安な場合は、法務局や司法書士にご確認ください。
出典
- 法務省「住所等変更登記の義務化について」https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00693.html
- 法務省「住所等変更登記の義務化特設ページ」https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00687.html
- 法務省「住所等変更登記の義務化に関するQ&A」https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00694.html