相続税・税金

解体すると補助金はもらえるが固定資産税は上がる?両方の損得を整理

解体すると補助金はもらえるが固定資産税は上がる?両方の損得を整理
gonzo
ごんぞう
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「解体すると補助金がもらえる」と「解体すると固定資産税が上がる」——この2つは同時に起こります。片方だけを見て判断すると、思ったより手元に残らなかった、ということになりかねません。両方まとめて整理します。

実家の解体を検討する際、「解体費用の補助金がもらえる」というプラスの面と、「更地にすると固定資産税の住宅用地特例が外れて税額が上がる」というマイナスの面が、同時に発生することを見落としがちです。この記事では、当サイトの他の記事で個別に解説してきた2つの制度を、あわせて整理します。

作成日:2026-09-11
更新日:2026-09-27

解体すると起こる2つの変化

変化内容方向性
①解体費用の補助金市区町村の制度を利用できれば、解体費用の一部(上限額あり)が補助されるプラス(一時金)
②固定資産税の変化住宅用地の特例(課税標準額を1/6・1/3に軽減する措置)が外れ、翌年1月1日時点で建物がなければ、翌年度から土地の課税標準額が本来の水準に戻る(評価額そのものは変わらない)マイナス(毎年の負担増)

①は解体した年に一度だけ受け取れる一時的なプラス、②は解体した翌年度以降、建物を再建するまで毎年続くマイナスという、性質の異なるお金の動きです。この違いを理解しておくことが、損得を考えるうえでの出発点になります。

住宅用地特例が外れると、税額はどれくらい変わるか

住宅用地の特例は、200㎡以下の部分(小規模住宅用地)で固定資産税の課税標準額を評価額の1/6に、200㎡を超える部分(一般住宅用地)で1/3に軽減する制度です。軽減されるのは税額計算のもとになる「課税標準額」であり、土地そのものの「評価額」は変わりません。判定は毎年1月1日(賦課期日)時点の状況で行われるため、建物を解体して更地にすると、その翌年の1月1日時点で建物がない状態になり、翌年度からこの特例の対象外になって課税標準額が本来の水準(特例前の金額)に戻ります。ただし、建替えで所有者が同一である等の要件を満たせば、住宅用地の認定が継続される例外もあります。詳しい仕組みは空き家の固定資産税、住宅用地特例が解除されるとどうなるかで解説しています。

ここが間違えやすいので注意!

200㎡以下の土地であれば、特例が外れることで土地の課税標準額は実質的に最大6倍程度になる計算です(評価額そのものは変わりません)。ただし、これはあくまで課税標準額ベースの倍率であり、実際の税額の増加幅は、建物部分の固定資産税がなくなること(建物を解体すれば建物への課税自体がなくなります)とあわせて総合的に見る必要があります。正確な影響額は、実家がある市区町村の固定資産税担当窓口に試算を依頼することをおすすめします。

モデルケースで損得の規模感をつかむ

ごんぞう
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数字だけでは分かりにくいので、仮のケースで一度計算してみましょう。あくまで当サイトが仮定した試算例で、実際の金額を示すものではありません。

仮に、土地面積150㎡(小規模住宅用地の範囲内)、解体費用120万円、そのうち市区町村の補助金で上限50万円を受け取れたケースを考えてみます。

  • 一時的なプラス:解体補助金50万円(解体した年のみ)
  • 解体費用の自己負担:120万円-50万円=70万円
  • 毎年のマイナス:住宅用地特例が外れることによる土地の固定資産税の増加分(金額は評価額・税率によって個別に異なるため、市区町村に試算を依頼する必要がある)

仮に固定資産税の増加分が年間数万円程度だとすると、解体後数年〜十数年にわたって積み重なっていくマイナスが、一時的な補助金50万円をいずれ上回る可能性があるという考え方もできます。逆に、更地にしてすぐに売却する予定であれば、固定資産税が増える期間は短くて済むため、影響は限定的です。「解体後どれくらいの期間、その状態を維持するのか」によって、損得のバランスは大きく変わります。

もう少し具体的に、固定資産税の増加分がどの程度になりうるか、仮の数字で計算してみます。土地の固定資産税評価額を仮に1,000万円、固定資産税の標準税率を1.4%とすると、次のような差が生まれます。

状態課税標準額の考え方年間の固定資産税額(土地分・目安)
住宅用地特例あり(解体前)評価額1,000万円 × 1/6約2.3万円
住宅用地特例なし(解体後)評価額1,000万円 × そのまま約14万円

この仮定の場合、年間の増加分はおよそ11.7万円となり、解体補助金の上限額50万円は、約4年強でこの増加分に追いつかれる計算になります。5年、10年と更地のまま保有し続けるほど、補助金で得たプラスを固定資産税の増加分が上回っていく可能性が高まります。この試算はあくまで当サイトが仮定した数字であり、実際の評価額・税率・軽減措置の適用状況は個々の土地・自治体によって異なるため、正確な金額は固定資産税の納税通知書や市区町村への確認が必要です。

「解体して更地のまま長期間放置」が最も損をしやすいパターン

この整理から見えてくるのは、「解体はしたが、その後の活用方針(売却・新築・駐車場利用等)が決まらないまま更地を長期間放置する」というパターンが、税負担の観点では最も不利になりやすいということです。補助金という一時的なプラスを受け取った後、方針が決まらないまま何年も固定資産税の増加分だけを払い続けることになりかねません。

逆に、解体後すぐに売却する、駐車場等として収益化する、新築を建てて住宅用地の特例を再度受けられる状態にする、といった「次の使い道」を決めてから解体に踏み切ることが、税負担の増加を最小限に抑えるポイントになります。

実際には、「解体してから売却先を探す」のではなく「売却の目処が立ってから解体する」という順序の方が、更地で放置する期間を短くできるため、税負担の観点では有利になりやすいと考えられます。ただし、建物が残ったままでは売却が難しい・買い手がつきにくいと判断される場合は、先に解体してから売りに出す方が現実的なこともあります。どちらの順序が適しているかは、実家の立地・状態・地域の不動産需要によって異なるため、解体前に一度、不動産会社に相談して売却の見通しを確認しておくことをおすすめします。

解体しない、という選択肢も含めて比較する

ここまでの整理を踏まえると、実家をどうするかの検討では、「解体して補助金を受け取り、その後どう活用するか」まで含めたセットで考える必要があることが分かります。空き家のまま維持する場合、賃貸に出す場合、解体して売却する場合など、複数の選択肢を数字で比較したい場合は実家「賃貸」vs「売却」比較シミュレーターもあわせてご活用ください。

実家じまいとの関わり

解体費用の補助金は魅力的に見えますが、それだけで解体の是非を判断するのではなく、その後の固定資産税の変化、そして解体後の土地をどう活用するかまでを含めて検討することが重要です。補助金制度の探し方は空き家の解体・改修補助金は誰のお金で成り立っているのか、申請の具体的な流れは空き家解体補助金の申請、着工前に必ず必要な手続きとはもあわせてご覧ください。

よくある質問

Q. 解体後すぐに新築すれば、固定資産税は元に戻りますか?

新しい住宅を建てて要件を満たせば、その土地は再び住宅用地の特例の対象になり、評価額は軽減されます。ただし、新築の建物自体には別途固定資産税が課税されるため、土地と建物を合わせた総額で比較する必要があります。

Q. 駐車場として活用する場合も固定資産税は上がりますか?

更地を駐車場として利用する場合も、住宅用地の特例は適用されないため、住宅が建っていた時と比べて土地の固定資産税評価額は高くなります。一方で駐車場としての収益が得られるため、収益と税負担を合わせて検討することになります。

Q. 補助金をもらうと、固定資産税の増額が免除されたりしませんか?

いいえ、解体補助金と固定資産税の住宅用地特例は別の制度であり、連動する仕組みはありません。補助金を受け取ったかどうかにかかわらず、更地になった土地は原則として住宅用地特例の対象外になります。

Q. 空き家のまま何もせず放置するのが、税金の面では一番得ですか?

固定資産税だけを見れば、住宅用地特例が維持される分、更地にするより有利に見えることがあります。ただし、老朽化した空き家をそのまま放置すると、特定空家等・管理不全空家等に認定され、結果的に住宅用地特例が解除されるリスクや、倒壊・事故等の管理責任を問われるリスクもあります。固定資産税だけで判断せず、建物の状態や周辺への影響もあわせて考える必要があります。

Q. 固定資産税の正確な試算は、どこに依頼すればいいですか?

実家がある市区町村の固定資産税担当窓口(資産税課等の名称が一般的です)に問い合わせると、現在の評価額や、解体した場合の税額の見込みについて相談できることがあります。正確な評価額は固定資産税の納税通知書や、市区町村が発行する固定資産税評価証明書でも確認できます。

まとめ

実家の解体は、補助金という一時的なプラスと、固定資産税の増加という継続的なマイナスが同時に発生します。解体そのものだけでなく、解体後の土地をどう活用するかまでセットで考えることで、結果的な損得のバランスが大きく変わります。判断に迷う場合は、固定資産税の試算は市区町村に、税務上の細かい判断は税理士に相談することをおすすめします。


出典

  1. 国土交通省「改正空家法 施行に向けた空き家対策の現在地」https://www.mlit.go.jp/report/press/house03_hh_000177.html
  2. 住宅用地の特例・固定資産税の仕組みは、当サイト既出記事および総務省・国土交通省の公表資料に基づき整理
  3. 大阪市「住宅用地の特例措置」(課税標準額・賦課期日・建替え特例の説明)https://www.city.osaka.lg.jp/zaisei/page/0000385220.html
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