解体・改修の補助金ガイド:制度の仕組みと注意点を整理

空き家の解体や改修には、自治体独自の補助金があることも!今日は補助金の仕組みから、「放置するとどうなるか」の段階的な流れまで、国土交通省・総務省の情報をもとにじっくり整理していきますね!
空き家の解体や改修には、自治体独自の補助金が用意されていることがあります。この記事では、補助金の仕組みと申請時の注意点、そして解体や放置にともなう固定資産税の変化について、国土交通省・総務省の公表情報をもとに整理しました!金額や条件は自治体によって大きく異なるため、詳細は物件所在地の自治体窓口にご確認くださいね。
作成日:2026-08-11
更新日:2026-09-10
補助金の仕組み(国ではなく自治体が制度を設計)
空き家の解体・改修に関する補助金は、国が個人に直接交付するものではありません。市区町村が独自に制度を設計し、その財源の一部を国が支援するという枠組みになっています。国土交通省の「空き家対策総合支援事業」などがその代表例で、空家等対策の推進に関する特別措置法に基づき対策を進める市区町村に対し、国が費用の一部(地方公共団体が事業主体の場合、国費は交付対象限度額の1/2が目安)を支援する仕組みです。
図:解体・改修補助金の資金の流れ(国→市区町村→所有者の2段階構造)
このため、実際に個人が使える補助金の有無・対象要件・金額は、住んでいる市区町村によって大きく異なります!
出典:国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報」(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000035.html)
一般的な補助制度の傾向
自治体の補助制度には地域差が大きいものの、多くの自治体で共通して見られる傾向として、次のような制度が挙げられます。
- 倒壊のおそれがあると自治体が判断した老朽空き家を対象にした解体費用の補助
- 一定の耐震性・老朽度の基準を満たす空き家を対象にした改修費用の補助
補助率・上限額は自治体ごとに個別に定められていて、同じ制度名でも金額に幅があります。正確な金額・対象条件は、必ず物件所在地の自治体窓口で確認してくださいね。
申請時の一般的な注意点
多くの自治体の補助制度に共通する注意点として、次のような運用上の特徴が挙げられます。
- 予算の上限に達し次第、年度途中でも受付を終了する「先着順」の運用がされている場合がある
- 工事の着工前に申請・交付決定を受けることが条件とされている場合が多く、着工後の遡り申請は認められないことが一般的
- 市内業者や登録業者による施工が条件とされている場合がある
ここが間違えやすいので注意!
「工事を先に済ませてから補助金を申請しよう」と考えてしまいがちですが、着工前の申請・交付決定が条件になっている自治体がほとんどです!工事業者との契約を結ぶ前に、まず自治体窓口に確認することをおすすめします。
制度の詳細な要件・スケジュールは自治体ごとに異なるため、着工前に必ず物件所在地の自治体窓口へ確認することが必要です。
空き家を放置するとどうなる?「特定空家等」への流れ
解体や改修を先延ばしにして空き家を放置していると、自治体から段階的に対応を求められる仕組みがあります。この流れを知っておくと、補助金を使うタイミングの判断材料にもなります。
特定空家等とは
空家等対策の推進に関する特別措置法では、次のいずれかに該当する空き家を「特定空家等」と定義しています。
- 倒壊等、著しく保安上危険となるおそれのある状態
- 適切な管理が行われず、衛生上有害となるおそれのある状態
- 適切な管理が行われず、著しく景観を損なっている状態
- その他、周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切な状態
段階的に強くなる措置
特定空家等に該当すると判断されると、自治体は次のような段階を踏んで対応するとされています。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| ①助言・指導 | 除却や修繕などの措置をとるよう助言・指導する |
| ②勧告 | 改善されない場合に勧告。この時点で住宅用地特例が外れる |
| ③命令 | 勧告に従わない場合の行政処分。従わないと50万円以下の罰金の対象になりうる |
| ④行政代執行 | 自治体が所有者に代わって解体等を行い、費用を所有者に請求 |
令和5年12月13日に施行された法改正では、この「特定空家等」になる一歩手前の段階として「管理不全空家等」という区分も新設されました。管理不全空家等の段階では指導・勧告までにとどまり、命令や行政代執行のような強い措置は規定されていませんが、勧告を受けた時点で特定空家等と同じく住宅用地特例が外れる扱いになります。

つまり「特定空家等になる前の管理不全空家等」の段階で、すでに税金面の影響が出はじめる、ということなんです……。放置している期間が長いほど、後になって重い対応を求められるリスクが上がっていく仕組みになっています。
出典:国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(令和5年法律第50号)について」(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000138.html)
解体・放置どちらでも起こりうる固定資産税の変化
住宅用地特例とは
住宅が建っている土地には、固定資産税の課税標準額を軽減する「住宅用地特例」が適用されています。200平方メートル以下の部分は課税標準額が価格の6分の1に、200平方メートルを超える部分は3分の1に軽減される仕組みです。
出典:総務省「固定資産税」(https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/150790_15.html)、地方税法第349条の3の2
特例が外れるとどれくらい変わる?(イメージ)
たとえば、200平方メートル以下の土地で固定資産税評価額が1,200万円だったとします。住宅用地特例が適用されている間は、課税標準額が6分の1の200万円になり、標準税率1.4%をかけると土地の固定資産税は年間およそ2万8,000円です。特例が外れて評価額そのものが課税標準になると、単純計算では1,200万円×1.4%=年間およそ16万8,000円と、6倍程度に増える計算になります。実際の税額は自治体や特例の適用状況によって異なるため、あくまで目安としてご覧ください。
解体すると特例が外れる/放置して勧告を受けても外れる
家屋を解体して更地にすると、住宅用地特例の対象ではなくなるため、翌年以降の固定資産税額が上がる場合があります。一方で、解体せずに放置し、前述の「管理不全空家等」や「特定空家等」として勧告を受けた場合も、同様に特例が解除される扱いになります。
つまりこういうこと!
「解体すれば税金が上がるけど、放っておけば今のまま」というわけではありません。管理を怠って自治体から勧告を受けた場合も、同じように税額が上がる可能性があります。「解体するか・しないか」だけでなく「きちんと管理できているか」も、税金に関わってくる、と捉えておくとよさそうですね。
出典:国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(令和5年法律第50号)について」
よくある質問
Q. 補助金と3,000万円特別控除は同時に使えますか?
解体費用の補助金と、売却時の譲渡所得に関する3,000万円特別控除は、それぞれ別の制度・別の場面(工事費用の補助/売却時の税金の控除)で使われるものです。制度の目的が異なるため、要件を満たせばそれぞれ別々に活用できると考えられますが、詳細は自治体・税理士にご確認ください。3,000万円特別控除についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
Q. 特定空家等に指定されると必ず解体命令が出ますか?
指定後すぐに命令や代執行になるわけではなく、まず助言・指導、次に勧告という段階を踏むとされています。改善が見られる場合はその時点で措置が止まることもあります。個別の状況に応じた判断は自治体にご確認ください。
まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助金の主体 | 市区町村が制度設計、国は財政支援(国費目安1/2) |
| 補助対象の傾向 | 老朽危険空き家の解体、耐震改修等(金額は自治体差が大きい) |
| 申請の注意点 | 先着順・着工前申請必須・施工業者指定の場合あり |
| 特定空家等の措置の流れ | 助言・指導 → 勧告(特例解除)→ 命令(罰金対象)→ 行政代執行 |
| 住宅用地特例(200㎡以下) | 課税標準額が価格の6分の1 |
| 特例が外れるケース | 解体して更地にした場合、または勧告を受けた場合 |
空き家バンクを使った活用も選択肢の一つです。詳しくは空き家バンクの使い方ガイドをご覧ください。
補助金制度をより深く知りたい方は、こちらもあわせてご覧ください。財源となる国の交付金の仕組みは空き家の解体・改修補助金は誰のお金で成り立っているのか、実際の申請の流れは空き家解体補助金の申請、着工前に必ず必要な手続きとは、解体せずリフォームで活かす場合の国の直接補助制度は長期優良住宅化リフォーム推進事業とはで解説しています。補助金一覧は補助金に関する記事一覧からもご覧いただけます。
解体費用の一般的な相場感
補助金の話に入る前に、そもそも解体費用がどれくらいかかるのか気になる方も多いと思います。民間の解体業者情報等でよく紹介されている目安として、木造住宅の解体費用は坪あたり3万〜5万円程度、30坪の住宅であれば90万〜150万円程度が一つの目安とされています。
これは建物本体の解体費用の目安であり、ブロック塀・カーポートの撤去、井戸や浄化槽の処理といった付帯工事が別途発生することもあります。立地(重機が入れるか等)や残置物の有無によっても金額は変わるため、あくまで目安として捉え、実際の判断は複数の業者から見積もりを取って検討することをおすすめします。
つまりこういうこと!
補助金の上限額が20万〜100万円程度の自治体が多い一方、解体費用自体は90万〜150万円程度かかることもあるので、補助金だけで全額まかなえるとは限りません!自己負担分がどれくらいになりそうか、補助金額と解体費用の両方を確認したうえで検討するのがおすすめです。
よくある質問(続き)
Q. 空き家を放置しているだけで罰金を取られることはありますか?
放置しているだけで即座に罰金、ということはありません。前述のとおり「助言・指導」「勧告」の段階を経て、それでも改善されない場合の「命令」に従わなかったときに、はじめて50万円以下の罰金の対象になりうるとされています。ただし、勧告の時点で住宅用地特例が外れて税額が上がる可能性はあるため、金銭的な影響はより早い段階から生じ得ます。
Q. 補助金の申請は自分でできますか?
多くの自治体では、所有者本人による申請が可能とされています。申請書類の書き方や必要書類については、自治体窓口で相談できる場合が多いので、まずは問い合わせてみるとよいでしょう。
出典
- 国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報」https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000035.html
- 国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(令和5年法律第50号)について」https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000138.html
- 総務省「固定資産税」https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/150790_15.html