管理不全空家等の指導、1年半で3,211件に|国交省の全国集計から見る空き家対策の実態

国土交通省が、全国の自治体による空き家への指導・勧告・代執行の件数を市区町村別にまとめた資料を公表しています!実際にどれくらい「本気で」運用されているのか、数字で見ていきましょう。
「管理不全空家等」「特定空家等」という制度は、これまでの記事でも紹介してきましたが、実際にどれくらいの件数が全国で動いているのか、気になる方も多いと思います。国土交通省が公表している令和7年3月31日時点の集計資料から、その実態を整理しました。
最終確認日:2026-08-13
新設「管理不全空家等」、1年半足らずで指導3,211件
令和5年12月に新設された「管理不全空家等」の指導・勧告制度は、令和7年3月31日時点の累計で、指導3,211件、勧告378件に達しています。制度開始から1年半に満たない期間でこの件数に達しているのは、自治体側の運用がかなり早いペースで進んでいることを示していると言えそうです。
都道府県別に見ると、山形県(指導194件・勧告110件)、茨城県(指導249件・勧告26件)、三重県(指導130件・勧告21件)などで件数が多く、地域差が大きいことも読み取れます。
「特定空家等」は制度開始から10年で助言・指導42,768件
一方、平成27年(2015年)の空家法施行から運用されている「特定空家等」については、令和6年度までの累計で次のような件数になっています。
| 措置の段階 | 累計件数(〜R6年度) |
|---|---|
| 助言・指導 | 42,768件 |
| 勧告 | 4,153件 |
| 命令 | 551件 |
| 行政代執行 | 286件 |
| 略式代執行 | 592件 |
| 緊急代執行 | 12件 |
代執行(行政代執行・略式代執行・緊急代執行の合計)は累計890件です。助言・指導の件数と比べると、実際に行政が代わりに解体等を行うところまで進むケースは、全体の中では一部にとどまっていることが分かります。
出典:国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法の施行状況等(令和7年3月31日時点)」
空家等対策計画の策定率は88.5%
市区町村が空家等対策計画を策定している割合は、全国で88.5%(1,541市区町村)となっています。都道府県別に見ると、岐阜県・三重県・滋賀県・兵庫県など複数の県で策定率100%を達成している一方、沖縄県は31.7%にとどまるなど、地域差が大きい状況です。
ここが間違えやすいので注意!
自分の実家がある自治体で空家等対策計画の策定が進んでいない、あるいは指導・勧告の実績が少ないからといって、「その地域では空き家問題に本気で取り組んでいない」と単純には言えません。件数は自治体の空き家の絶対数や、制度の運用方針によっても変わってくるため、あくまで全国的な傾向を知るための参考情報として捉えるのがよさそうです。
考察:制度は「絵に描いた餅」ではなくなってきている
令和5年の法改正で新設された「管理不全空家等」の仕組みが、わずか1年半で3,000件を超える指導実績を上げているという事実は、この制度が単なる法律上の建前ではなく、実際に自治体の現場で動き始めていることを示していると考えられます。

つまり、「うちの実家は田舎だし、行政もそこまで細かく見ていないだろう」という感覚は、今後は通用しにくくなっていくかもしれません。管理不全空家等の勧告を受けると住宅用地特例が外れる、という金銭的な影響も含めて、実際に動き出している制度だと捉えておいたほうがよさそうです。
管理不全空家等・特定空家等の制度の詳細や、固定資産税への影響については、解体・改修の補助金ガイドで整理しています。
まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 管理不全空家等の指導(累計) | 3,211件(制度開始から約1年半) |
| 管理不全空家等の勧告(累計) | 378件 |
| 特定空家等の助言・指導(累計) | 42,768件(H27〜R6年度) |
| 特定空家等の代執行(累計) | 890件(行政・略式・緊急の合計) |
| 空家等対策計画の策定率 | 88.5%(1,541市区町村) |
出典
- 国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法の施行状況等(令和7年3月31日時点)」