相続放棄の申述受理件数、過去最多を更新|背景にある「実家」の存在

相続放棄を選ぶ人が、実は年々増え続けています。司法統計の数字を見ると、その背景に「実家」の存在が透けて見えます。
「実家を相続したくない」という選択をする人が、全国的に増加傾向にあります。裁判所の司法統計によると、相続放棄の申述受理件数は年々増え続け、過去最多を更新し続けている状況です。この記事では、その推移と背景を整理します。
最終確認日:2026-08-28
相続放棄の受理件数、5年連続で増加
各種報道が伝える司法統計の集計によると、全国の家庭裁判所における相続放棄の申述受理件数は、次のように推移しています。
| 年 | 相続放棄の申述受理件数 |
|---|---|
| 令和元年 | 約225,416件 |
| 令和2年 | 約234,732件 |
| 令和3年 | 約251,994件 |
| 令和4年 | 約260,497件(当時の過去最多) |
| 令和5年 | 約282,785件(過去最多を更新、前年比+8.56%) |
出典:裁判所「司法統計年報」の集計を報じた各種報道
5年連続で増加しており、令和5年は約28万件と、令和元年(約22.5万件)から2割以上増えている計算になります。相続放棄は特別なケースではなく、年々身近な選択肢になってきているといえそうです。
背景にあるとされる「負動産」の存在
相続放棄が増えている背景として、各種報道では親が残した実家(不動産)の維持費・固定資産税の負担を避けたいという事情がしばしば指摘されています。売却も活用も難しい実家は、相続すること自体が経済的な負担になりかねないため、プラスの財産よりも維持コストが上回ると判断された場合に、相続放棄という選択が取られやすくなっていると考えられます。
相続放棄の基本ルール
- 期限:相続の開始があったことを知った日から3ヶ月以内に、家庭裁判所に申述する必要があります
- 効果:相続放棄をすると、プラスの財産(預貯金・不動産等)もマイナスの財産(借金等)も、一切相続しないことになります
- 撤回:一度受理された相続放棄は、原則として撤回できません
- 単位:相続放棄は相続人一人ひとりが個別に行う手続きです。相続人のうち一人が放棄しても、他の相続人には影響しません(放棄した人がいなかったものとして、次の順位の人に相続権が移ることはあります)
ここが間違えやすいので注意!
相続放棄をしても、実家の管理義務がその瞬間にすべてなくなるとは限りません。民法では、相続放棄をした人が実際にその財産を占有している場合、次の相続人(または相続財産清算人)に引き渡すまでの間、一定の管理を継続する義務が定められています。「放棄すれば実家に一切関わらなくてよくなる」と単純に考えず、詳しい扱いは司法書士や弁護士にご確認ください。
実家じまいとの関わり
相続放棄が増えているという統計は、「実家をどうするか」を先延ばしにできない状況が広がっていることの表れとも読み取れます。放棄するかどうかを判断するには、期限(3ヶ月)内にプラスの財産・マイナスの財産の概要を把握する必要があるため、早めの情報整理が欠かせません。実家を相続する場合としない場合、それぞれの選択肢の整理は実家はまだそのまま。でも気になっている方へ、実家じまい全体の費用感は実家じまいにかかる費用まとめもあわせてご覧ください。
よくある質問
Q. 実家だけ相続放棄して、預貯金だけ相続することはできますか?
できません。相続放棄は特定の財産だけを選んで放棄することはできず、プラスの財産・マイナスの財産をすべて含めて「相続人でなかったことにする」手続きです。実家だけを手放したい場合は、相続したうえで売却・国庫帰属制度の利用等、別の方法を検討することになります。
Q. 3ヶ月の期限に間に合わない場合はどうすればいいですか?
財産の調査に時間がかかる等、正当な理由がある場合は、家庭裁判所に申し立てることで期限の伸長が認められることがあります。期限内に判断が難しいと感じた時点で、早めに家庭裁判所または弁護士・司法書士に相談することをおすすめします。
まとめ
相続放棄の件数は5年連続で増加し、過去最多を更新し続けています。実家の維持負担が背景の一つとされる中、放棄するかどうかの判断には期限(3ヶ月)があるため、早めに財産状況を把握しておくことが重要です。
出典
- 裁判所「司法統計年報」https://www.courts.go.jp/toukei_siryou/shihotokei_nenpo/index.html
- 年別の件数推移は、司法統計年報の集計を報じた各種報道を参考に当サイトで整理
- 裁判所「相続の放棄の申述」https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_13/index.html