相続土地国庫帰属制度、承認率は約5割|「いらない土地」を国に引き取ってもらえる新制度の実態

「いらない土地を国に引き取ってもらえる」制度があるのをご存知ですか?相続土地国庫帰属制度という、令和5年にできた新しい制度の実際の運用状況を見てみます!
実家の売却・活用が難しい「土地」だけの相続財産について、「国に引き取ってもらう」という選択肢があるのをご存知でしょうか。この記事では、相続土地国庫帰属制度の概要と、実際の運用実績について整理します。
最終確認日:2026-08-12
相続土地国庫帰属制度とは
相続や遺贈によって土地を取得した人が、一定の要件を満たす場合に、法務局の審査・承認を経て、その土地を国庫に帰属させる(国に引き取ってもらう)ことができる制度です。相続登記の義務化と同じく、令和3年の民法・不動産登記法等の改正パッケージの一部として創設されました。
建物ではなく「土地」のみが対象で、審査手数料に加えて、承認された場合は10年分の土地管理費用に相当する負担金の納付が必要とされています。また、境界が不明確な土地や、建物・工作物がある土地、担保権が設定されている土地などは対象外とされており、要件は決して緩くありません。
実際の運用状況(2026年2月時点)
2026年2月末時点の統計によると、申請件数は累計5,140件、実際に国庫への帰属が認められた件数は累計2,542件となっています。地目別の内訳は、宅地902件・農用地776件・森林156件です。
単純計算すると、申請に対する承認の割合はおよそ5割前後です。半分近くは、審査の過程で要件を満たさないと判断されたか、申請が取り下げられたことになります。
ここが間違えやすいので注意!
「いらない土地を国に引き取ってもらえる」と聞くと、実家の空き家問題を丸ごと解決できるように思えるかもしれません。しかしこの制度の対象はあくまで「土地」であり、建物が残ったままでは対象になりません。実家の解体を先に済ませてから土地だけを対象に検討する、という順序になる点に注意が必要です。
考察:承認率5割という数字をどう見るか
承認率が5割前後という数字は、見方によって印象が変わります。「せっかく申請しても半分近くは通らない、ハードルが高い制度」と見ることもできますし、「要件さえ満たしていれば半数近くが実際に国が引き取ってくれている、実効性のある制度」と見ることもできます。
宅地・農用地・森林という内訳を見ると、宅地(902件)が最も多く、住宅地としての実家の土地についても一定数の活用実績があることがうかがえます。

この制度は、空き家バンクでの活用や売却が難しい「使い道のない土地」における選択肢の一つ、という位置づけで捉えるのがよさそうです。負担金や要件のハードルもあるので、まずは売却・活用の道を探ったうえで、それでも難しい場合の最終手段として検討する、という順番になりそうですね。
売却や活用の選択肢については、空き家、売る・貸す・解体で迷っている方へもあわせてご覧ください。
まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 相続・遺贈で取得した土地(建物は対象外) |
| 申請件数(累計、2026年2月末時点) | 5,140件 |
| 帰属件数(累計) | 2,542件 |
| 承認率の目安 | 約5割 |
| 地目別内訳(帰属件数) | 宅地902件・農用地776件・森林156件 |
| 費用 | 審査手数料+10年分の管理費用相当の負担金 |
制度の詳しい要件や申請手続きについては、法務局または司法書士にご確認ください。
出典
- 法務省「相続土地国庫帰属制度の運用状況」