相続登記の義務化とは?期限・過料・対象者を法務省の情報から整理

実家を相続したとき、「登記っていつまでにやればいいんだろう?」って気になりますよね!今日は相続登記の義務化について、法務省の情報をもとに、費用や必要書類まで含めてじっくり整理していきます!
「登記っていつまでにやればいいの?」「放っておいたらどうなるの?」——実家を相続すると、こんな疑問がわいてきますよね。この記事では、相続登記の義務化について、対象になる人・期限・期限を過ぎた場合の扱いから、実際にかかる費用・必要書類まで、法務省の公表情報をもとにまとめて整理しました!判断や手続きの進め方に不安がある場合は、記事内でもご案内する通り、司法書士等の専門家にご確認くださいね。
作成日:2026-08-11
更新日:2026-09-10
そもそも「相続登記」とは?
「登記」というと難しく聞こえますが、要は不動産の名義を法務局の記録上、正式に書き換える手続きのことです。実家の名義がまだ亡くなった親のままになっている、というケースはとても多く、それを「今の所有者(相続人)」の名前に変更するのが相続登記です。
名義が変わっていないと、その不動産を売ったり、担保に入れてお金を借りたりすることが基本的にできません。また後述するとおり、令和6年4月からはこの手続きそのものが法律上の義務になっています。
相続登記の義務化とは
相続登記の申請義務化は、令和6年4月1日(2024年4月1日)にスタートしました!これまでは「やってもやらなくてもいい」とされていた相続登記が、法律上の義務に変わっています。
法務省によると、この制度は所有者不明土地の発生を防ぐ目的で作られました。相続登記がされないまま放っておかれた不動産は、誰が持ち主かわからなくなり、土地の管理や活用の妨げになってしまう、というのが背景にあるようです。全国で九州の面積を超えるほどの所有者不明土地があると指摘されたことが、この改正のきっかけになったと言われています。
出典:法務省「相続登記の申請義務化について」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html)
誰が対象か
遺言・遺産分割・法定相続、どのケースも対象
遺言で不動産をもらった場合も、遺産分割協議で決めた場合も、法定相続分どおりに相続した場合も、いずれも相続登記の義務化の対象になります。
施行日より前に相続した実家も対象
令和6年4月1日より前に相続が発生していた場合でも、登記がまだ済んでいなければ対象になります。「昔相続した実家がそのままになっている」というケースも、しっかり対象に含まれるので要注意です!
起算点は「知った日」
義務のスタート地点は、相続が始まったこととその不動産を自分が取得したことの両方を知った日です。知らなければ、そもそも義務は発生しません。
出典:法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」第2章(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00565.html)
期限はいつまでか
原則:知った日から3年以内
相続の開始と不動産取得を知った日から、3年以内に相続登記を申請するのが基本のルールです!
図:相続登記の期限と、過ぎた場合の流れ
経過措置:施行日より前の相続の場合
施行日(令和6年4月1日)より前に発生した相続で、まだ登記がされていない不動産については、次のうち遅い方の日が期限になります。
| ケース | 期限 |
|---|---|
| 施行日より前に「知った日」がある場合 | 令和9年3月31日(2027年3月31日) |
| 施行日以降に初めて「知った日」を迎える場合 | その日から3年以内 |
ここが間違えやすいので注意!
「相続登記を1回すれば、もうこの話は終わり」と思われがちですが、実はそうではありません!いったん法定相続分で登記したあとに遺産分割協議がまとまった場合は、その成立日から3年以内に、内容を反映した登記をもう一度申請する必要があります。
出典:法務省「相続登記の申請義務化について」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html)
期限内に登記しないとどうなるか(過料の仕組み)
10万円以下の過料が定められている
正当な理由がないのに期限内に相続登記をしないと、10万円以下の過料の対象になることが法律で定められています。
実際の流れ
過料は、うっかりしていたらいきなり請求される、というものではありません。次のような段階を踏むとされています。
- 登記官が「登記してくださいね」と期限を決めて催告する
- その期限内に、正当な理由なく申請がなければ、登記官が裁判所に通知する
- 裁判所が過料の額を判断する(上限10万円)
「正当な理由」があれば対象外になる
法務省のQ&Aでは、正当な理由の例として次のようなケースが挙げられています。
- 相続人が極めて多数:数次相続が重なって相続人が数十人規模になり、戸籍集めに時間がかかる場合
- 遺言や遺産の範囲で係争中:遺言の有効性や、どこまでが遺産に含まれるかで裁判になっている場合
- 重病等の事情:登記する本人が入院中など、手続きが難しい健康状態にある場合
- DV被害等での避難:加害者に居場所を知られたくない事情があり、住所地の変更を伴う登記が難しい場合
- 経済的困窮:登記費用(後述する登録免許税等)を負担する余裕がない場合

つまり、「事情があって期限に間に合わない」というケースは、いきなり過料になるわけじゃないんです!まず法務局から連絡が来て、理由を伝えるチャンスがある、という制度設計になっています。自分のケースが正当な理由にあたるかどうかは、法務局や司法書士に確認するのが確実ですよ。
出典:法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」第3章(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00565.html)
相続登記にかかる費用(登録免許税)
相続登記そのものは義務ですが、無料でできるわけではありません。申請時には「登録免許税」という税金がかかります。
税率は原則0.4%
法定相続人が相続によって不動産を取得する場合、登録免許税は不動産の固定資産評価額×0.4%で計算されます。たとえば評価額3,000万円の実家であれば、3,000万円×0.4%=12万円が目安です。
100万円以下の土地は免税措置がある
土地の評価額が100万円以下の場合、令和9年3月31日までに相続登記を申請すれば、登録免許税が免除される措置が設けられています。地方の実家で、建物ではなく土地の評価額が低いケースなどでは、この免税措置に該当することがあります。
つまりこういうこと!
この免税措置の期限も、相続登記の経過措置の期限と同じ令和9年3月31日です。評価額の低い土地を相続している方は、この期限までに申請すれば税金がかからない可能性がある、ということですね。申請書に免税の根拠となる法令の条項を書き忘れると適用されないので、その点は注意が必要です。
出典:法務局「相続登記の登録免許税の免税措置について」
主な必要書類
一般的に、次のような書類が必要になります(ケースによって異なります)。
- 被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍謄本一式
- 相続人全員の現在の戸籍謄本
- 遺産分割協議書(相続人全員の署名・実印押印)
- 相続人全員の印鑑証明書
- 不動産を取得する相続人の住民票
- 固定資産評価証明書(または課税明細書)
- 対象不動産の登記事項証明書
戸籍謄本は本籍地の市区町村役場で取得でき、1通あたり450円程度が目安です。遠方に本籍がある場合は郵送での取り寄せも可能ですが、集めるだけで数週間かかることも珍しくありません。早めに着手しておくと安心です。
遺産分割がまとまらない場合の選択肢(相続人申告登記)
簡易的に義務を果たすための制度
遺産分割協議がまとまらず、期限内に通常の相続登記が間に合いそうにない場合の対応として、「相続人申告登記」というより簡単な手続きが新しく用意されました!自分が相続人であることを法務局に申し出るだけで、義務を果たしたことになる制度です。
対応できる範囲には限界がある
ただし、相続人申告登記でカバーできるのは相続登記の基本的な義務(3年以内のもの)だけです。遺産分割が成立した後に別途発生する「成立日から3年以内」の追加義務には使えません。また、相続人申告登記はあくまで義務を履行したことにする手続きであり、正式な名義変更(所有権移転登記)そのものではない点にも注意が必要です。実際に売却や担保設定をするには、結局のところ通常の相続登記が必要になります。
申出の方法(ざっくり)
戸籍謄本などの書類を添えて法務局に申し出る形で行います。相続人が1人ずつ個別に申し出ることも、複数人でまとめて申し出ることもできますが、全員分をまとめて済ませたい場合は、原則として相続人全員の申出が必要です。
相続人申告登記を使うべきかどうかは遺産分割の状況によって変わってくるため、詳しくは司法書士等の専門家にご確認ください。
出典:法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」第4章(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00565.html)
よくある質問
Q. 自分で相続登記はできますか?
制度上、司法書士に依頼せず自分で申請することも可能とされています。ただし、戸籍の収集や書類作成に手間がかかるため、相続人が多い・関係が複雑といったケースでは、司法書士に依頼するケースが一般的です。費用や時間をどちらで使うかは、ご自身の状況に合わせて司法書士等にご相談ください。
Q. 相続登記をしないと売却できませんか?
不動産の名義が亡くなった人のままだと、原則として売却の手続きを進めることができません。売却を考えている場合は、まず相続登記で名義を現在の所有者に変更する必要があります。
Q. 相続放棄した場合も登記の義務はありますか?
家庭裁判所で相続放棄の手続きをした人は、その不動産の相続人ではなくなるため、相続登記の義務も発生しないという整理になります。相続放棄の手続き自体については、家庭裁判所や司法書士・弁護士にご確認ください。
手続きの相談先
相続登記の具体的な手続きは、法務局または司法書士が相談窓口になっています。書類の準備や個別の判断が必要な場面については、司法書士等の専門家にご確認ください。
出典:法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」第1章(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00565.html)
まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施行日 | 令和6年4月1日(2024年4月1日) |
| 期限の原則 | 相続開始と不動産取得を知った日から3年以内 |
| 経過措置の期限 | 令和9年3月31日まで(知った日が施行日以降ならその日から3年) |
| 遺産分割成立後の追加義務 | 成立日から3年以内 |
| 過料の上限 | 10万円以下(正当な理由がない場合) |
| 登録免許税 | 評価額×0.4%(100万円以下の土地は令和9年3月31日まで免税) |

まずは自分の相続がいつ発生したか、期限がいつなのかを確認するところから始めてみてくださいね!
相続人が複数いる場合の実家の扱いについては、相続人が複数いる場合、実家はどうなる?法定相続分・遺産分割協議・共有名義のリスクを整理も参考にしてください。登記のあとに売却を考えている場合は、空き家の3,000万円特別控除ガイドもあわせてご覧ください。
登記完了までの一般的な流れと期間
相続登記は、思い立ってすぐ完了するものではありません。一般的な流れは次のようなイメージです。
- 戸籍謄本など必要書類を集める
- 遺産分割協議書を作成する(協議が必要な場合)
- 登記申請書を作成し、法務局へ提出する
- 法務局で審査(補正が必要な場合は追加のやり取り)
- 登記完了・登記識別情報(権利証にあたるもの)の受け取り
書類収集から登記完了まで、スムーズに進んでも1〜2ヶ月程度を見込んでおくとよいとされています。戸籍謄本の収集に時間がかかるケースや、遺産分割協議が難航するケースでは、さらに長くなることもあります。
オンライン申請という選択肢もある
相続登記は、法務局の窓口や郵送での申請のほか、「登記・供託オンライン申請システム」を使ったオンライン申請にも対応しています。ただし戸籍謄本等の添付書類は別途提出が必要になる場合が多く、はじめての方には窓口や司法書士経由での申請のほうが分かりやすい、というケースも少なくないようです。
よくある質問(続き)
Q. 登記が完了したかどうかはどう確認できますか?
登記が完了すると、法務局から「登記識別情報通知」(従来の権利証にあたるもの)が交付されます。また、法務局で登記事項証明書を取得すれば、名義が変更されているかを確認できます。
Q. 相続登記をしないまま次の相続が発生したらどうなりますか?
これを「数次相続」と呼びます。相続人がさらに増え、必要な戸籍謄本の範囲も広がるため、手続きがより複雑になりやすいとされています。相続登記の義務化は、こうした状況を防ぐことも目的の一つになっています。放置する期間が長いほど関係者が増えていく可能性があるため、早めの着手が望ましいとされています。
出典
- 法務省「相続登記の申請義務化について」https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html(最終更新:令和8年4月1日)
- 法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00565.html
- 法務局「相続登記の登録免許税の免税措置について」