相続税の申告書は自分で作れる?国税庁の「申告要否判定コーナー」を使ってみる

「相続税の申告書って、確定申告みたいに自分でネットで作れないの?」という疑問、実はよく聞かれます。今回はその実情を整理します。
所得税の確定申告には、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」という、画面の案内に沿って入力するだけで申告書が完成する便利なツールがあります。では相続税にも同じような「作成コーナー」はあるのでしょうか。結論から言うと、少し事情が異なります。
最終確認日:2026-09-3
相続税専用の「申告書作成コーナー」はない
所得税とは異なり、国税庁のサイトには、相続税の申告書を画面入力だけで完成させる専用コーナーは用意されていません。相続税の申告書は、手書き、e-Tax、または民間の相続税申告ソフトのいずれかで作成することになります。
その代わりに使える「相続税の申告要否判定コーナー」
申告書そのものは作れませんが、国税庁のサイトには「相続税の申告要否判定コーナー」というツールがあります。財産・債務の金額や法定相続人の数を入力すると、基礎控除額を自動計算し、そもそも申告が必要かどうか、必要な場合のおおよその税額を試算できます。配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)を適用した場合のシミュレーションも可能です。
出典:国税庁「相続税の申告要否判定コーナー」(https://www.nta.go.jp/suggestion/yohihantei/input_form.html)
相続税の申告書は、どんな構成になっている?
相続税の申告書は、1枚の書類ではなく、「第1表」から「第15表」まで、目的別に分かれた複数の表を組み合わせて作成する仕組みになっています。財産の内容によって、実際に使う表の数は変わります。主な表は次の通りです。
| 表 | 内容 |
|---|---|
| 第1表 | 相続税の申告書本体(各相続人の納付税額を記載する中心的な表) |
| 第2表 | 相続税の総額の計算書 |
| 第5表 | 配偶者の税額軽減額の計算書 |
| 第9表 | 生命保険金などの明細書 |
| 第11表 | 相続税がかかる財産の明細書 |
| 第13表 | 債務及び葬式費用の明細書 |
| 第15表 | 相続財産の種類別価額表 |
これらの様式は、国税庁のサイトから無料でダウンロードできます。申告書そのものに加えて、財産評価の根拠となる資料(不動産の評価明細書等)も別途作成が必要になるため、財産の種類が多いほど、書類の数は増えていきます。
実際に申告書を作るにはどうすればいい?
- 国税庁の記載例を見ながら手書きする:国税庁が申告書の記載例を公表しており、財産評価さえ終えていれば、それを見ながら自分で記入することも可能とされています
- 民間の相続税申告ソフトを使う:必要な情報を入力すると、税額計算や帳票作成を自動で行ってくれる有料ソフトがいくつか提供されています
- 税理士に依頼する:財産の種類が多い、不動産の評価が複雑等の場合は、税理士に依頼するケースが一般的です
申告書の提出先と、あわせて用意する書類
相続税の申告書は、被相続人(亡くなった方)の死亡時の住所地を管轄する税務署に提出します。相続人自身の住所地の税務署ではない点に注意が必要です。
申告書の作成にあたっては、戸籍謄本・遺産分割協議書の写し・預貯金の残高証明書・不動産の固定資産評価証明書など、財産や相続関係を裏付けるさまざまな資料を集める必要があります。ただし、これらの資料の多くは申告書を作成するための「根拠資料」であり、実際に税務署への提出が必須とされているものは、印鑑証明書程度とされています。どの資料が必要かは財産の内容によって異なるため、詳しくは国税庁の案内または税理士にご確認ください。
ここが間違えやすいので注意!
相続税の申告が難しいとされる一番の理由は、税額計算そのものよりも「土地・建物の評価」にあります。路線価や倍率方式を使った評価、各種特例の適用可否の判断は専門知識が必要な場面が多く、評価を誤ると税額に大きな差が出ることがあります。財産に不動産が含まれる場合は、自分で申告するとしても、評価部分だけでも税理士に相談することをおすすめします。
実家じまいとの関わり
実家を相続した場合、まず気になるのは「そもそも申告が必要なのか」という点だと思います。国税庁の申告要否判定コーナーや、当サイトの相続税かんたん計算ツールで、大まかな規模感をつかんだ上で、必要に応じて税理士に相談するという流れが現実的です。申告期限は相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内なので、実家じまいの手続き、期限が近い順に一覧もあわせてご確認ください。
よくある質問
Q. e-Taxで相続税の申告はできますか?
相続税もe-Taxでの電子申告に対応しています。ただし、確定申告書等作成コーナーのような画面案内形式ではなく、あらかじめ作成した申告データを送信する形になるため、事前にソフト等で申告書を完成させておく必要があります。
Q. 相続財産が現預金だけの場合も、税理士に頼んだほうがいいですか?
現預金のみで評価に迷う要素が少ない場合は、自分で申告するケースもあります。ただし相続人の数や特例の適用有無によって計算は変わるため、少しでも不安がある場合は税理士への相談をおすすめします。
Q. 申告書の提出は、相続人全員が別々に行う必要がありますか?
相続税の申告書は、相続人全員が共同で1つの申告書に連署して提出することも、各相続人が別々に提出することも可能です。ただし別々に提出する場合でも、財産の評価額や税額の計算の前提は相続人間で揃えておく必要があるため、事前に情報を共有しておくことをおすすめします。
まとめ
相続税には所得税のような「作成コーナー」はありませんが、「申告要否判定コーナー」を使えば、申告の要否と概算税額は無料で確認できます。そこから先、実際に申告書を作るかどうかは、財産の内容と複雑さに応じて判断してください。
出典
- 国税庁「相続税の申告要否判定コーナー」https://www.nta.go.jp/suggestion/yohihantei/input_form.html
- 国税庁「相続税の申告書等の様式一覧」https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/sozoku-zoyo/annai/r07.htm