遺言・親の財産管理

遺言執行者とは?指定されていない場合はどうなるか

遺言執行者とは?指定されていない場合はどうなるか
gonzo
ごんぞう
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遺言書に「遺言執行者」が指定されているかどうかで、その後の手続きの進めやすさがかなり変わります。今回は、この「遺言の実行役」について整理します。

亡くなった方が遺言書を残していた場合、その内容を実現するために「遺言執行者」という役割が関わってくることがあります。遺言執行者が指定されているかどうかで、相続手続きの進め方が変わるため、この記事で基本を整理します。

最終確認日:2026-09-07

遺言執行者とは

遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために必要な行為(相続財産の管理、名義変更手続き等)を行う人のことです。民法第1012条第1項では、遺言執行者は「遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する」と定められており、権限は包括的なものとされています。

遺言者は、遺言の中で1人または複数の遺言執行者を指定することができます(民法第1006条第1項)。また、指定を第三者に委託することも可能です。

遺言執行者が指定されていない場合はどうなる?

遺言書に遺言執行者の指定がない場合や、指定された人が亡くなっている・辞任した・解任された等の事情がある場合、利害関係人(相続人、受遺者等)の請求により、家庭裁判所が遺言執行者を選任することができます(民法第1010条)。つまり、遺言執行者が指定されていないからといって、遺言の内容が実現できなくなるわけではなく、必要に応じて家庭裁判所に選任を申し立てることができる仕組みになっています。

出典:民法第1006条、第1010条、第1012条

ここが間違えやすいので注意!

遺言執行者が「必ず必要」というわけではありません。遺言の内容によっては、遺言執行者がいなくても相続人全員の協力で手続きを進められる場合もあります。一方で、後述する「認知」や「相続人の廃除」など、遺言執行者でなければ実行できない手続きも存在します。自分のケースで遺言執行者が必要かどうかは、遺言の内容によって異なるため、専門家に確認することをおすすめします。

遺言執行者がいると何が変わるのか

遺言執行者が選任されている場合、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な行為をする権利は遺言執行者にあり、相続人は相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができません(民法第1012条第1項、第1013条第1項)。これにより、次のようなメリットがあるとされています。

  • 不動産の名義変更や預貯金の解約等の手続きを、遺言執行者が単独で進められる場合がある(相続人全員の実印・印鑑証明書を都度集める手間が減る)
  • 相続人の一部が非協力的・連絡が取りにくい場合でも、遺言執行者が手続きを主導できる
  • 「認知」「推定相続人の廃除・廃除の取消し」など、遺言執行者でなければできないとされる特定の行為を実行できる

誰が遺言執行者になれるのか

遺言執行者になるための特別な資格は必要なく、相続人自身や、専門家(弁護士・司法書士・信託銀行等)が指定・選任されることが一般的です。ただし、民法上、未成年者および破産者は、遺言執行者になることができないと定められています(民法第1009条)。

相続人の中の1人が遺言執行者に指定されるケースも多くありますが、他の相続人との利害が対立しやすい遺言内容(特定の相続人にだけ多くの財産を残す内容等)の場合は、中立的な立場である専門家を遺言執行者に指定しておくことで、手続きがスムーズに進みやすくなるとされています。

自筆証書遺言書保管制度を利用する場合、法務局は遺言の形式面(日付・署名・押印等)を確認しますが、遺言執行者を指定するかどうか、誰を指定するかといった内容面の相談には応じていません。遺言執行者を指定しておくメリットを踏まえたうえで、遺言書を作成する段階から、誰に執行を任せるかをあわせて検討しておくとよさそうです。

遺言執行者への就任は辞退できる

遺言書で遺言執行者に指定されたとしても、その役割を引き受けるかどうかは指定された本人の自由であり、就任を辞退することができます。就任するかどうかは、相続人・受遺者からの通知を受けて確答することとされています(民法第1008条)。指定されていた人が就任を辞退した場合は、前述のとおり、家庭裁判所への選任申立てを検討することになります。

実家じまいとの関わり

ごんぞう
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遺言書に実家(不動産)の扱いが具体的に書かれている場合、遺言執行者がいることで名義変更等の手続きがスムーズになることが多いようです。逆に遺言執行者がいない場合は、相続人全員の協力が前提になるため、早めに全員で意思疎通を図っておくことが大切です。

遺言書に「実家は長男に相続させる」等の記載がある場合、遺言執行者が指定されていれば、その執行者が単独で相続登記等の手続きを進められることがあります。遺言執行者がいない場合は、相続人全員の実印・印鑑証明書等が必要になる場面が増えるため、手続きに時間がかかりやすくなります。遺言書の有無・保管場所については自筆証書遺言書保管制度とは?、相続登記の基本は相続登記の義務化とは?もあわせてご覧ください。

よくある質問

Q. 遺言執行者への報酬は決まっていますか?

遺言の中で報酬額が定められている場合はそれに従いますが、定めがない場合は、家庭裁判所が相続財産の状況等を考慮して報酬額を定めることができるとされています(民法第1018条)。専門家に依頼する場合は、契約時に報酬体系を確認することをおすすめします。

Q. 相続人の一人を遺言執行者に指定してもいいのですか?

相続人を遺言執行者に指定すること自体は可能です。ただし、他の相続人との関係が対立的になりやすい内容の遺言の場合は、公平性の観点から中立的な第三者(専門家)を指定する方が手続きが円滑に進みやすいとされています。

Q. 遺言執行者が手続きを進めてくれない場合、相続人はどうすればいいですか?

遺言執行者が正当な理由なく任務を怠っている場合、利害関係人は家庭裁判所に解任を請求できるとされています(民法第1019条)。まずは状況を確認し、必要に応じて弁護士に相談することをおすすめします。

まとめ

遺言執行者は、遺言の内容を実現するための実行役であり、指定されていれば相続人全員の協力を都度得なくても手続きを進めやすくなります。指定がない場合でも家庭裁判所への選任申立てという道があるため、遺言書が見つかった際は、まず遺言執行者の指定の有無を確認することをおすすめします。


出典

  1. 民法第1006条、第1008条、第1009条、第1010条、第1012条、第1013条、第1018条、第1019条
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